適正な人事評価ができないのは、客観的に評価する基準がないからだ。まずあらゆる業務を分解して、成果を点数化できる仕組みがなければ、客観的な評価基準なんてつくれっこない。

日本企業にはマネジメントができないマネジャーが多い

 昨今導入する企業が多いフラット型組織にも問題がある。うまくいかない原因は、マネジャーの不在だ。

 日本の企業では、社長、役員、部長、課長といったマネジャーやリーダーが、本来の業務であるマネジメントをやっていない。部下の雑用係と成り下がっている人もいる。

 自社のマネジャーは、売り上げを伸ばすためにどのような管理を行っているだろうか。数字しか見ておらず、部下に対しても「もっと頑張れ」と言うだけの「気合い管理」に終始しているのではないか。精神論では売り上げは伸びない。

 マネジャーがいない、あるいはいたとしてもプレイングマネジャーになっていることが問題だ。マネジメントのやり方を知らないのに、組織構造だけフラットに変えても職場は混乱するばかりだ。業務を管理するということは、人づくりでもある。マネジャーがマネジメントをできていない会社には、人材は育たない。

ピーク時に合わせた人材配置は非戦略的だ

 今日の企業のマネジャーに求められているのは、企業の三要素「人・モノ・カネ」に対して、Q(品質)・C(コスト)・D(納期)を効率よく向上させることだ。この場合のコストとは、ものづくりでは原価だが、管理・間接部門の業務では人件費を指す。

 要するに、最小の人員で、いかに最大の効果を出すかがマネジャーの役割。そのために、仕事量に対して人員は適正か、仕事の質はどうか、停滞やムダはないか、残業は多くないかなどに気を配らなくてはならない。

 ところが多くのマネジャーは、適正な人材配置ができていない。

 月末などのピーク時に合わせて人材を投入しているからだ。したがって社員は、ピーク時は忙しいが、暇な時期にはゆったりのんびりと仕事をすることになる。これは人件費のムダ以外のなにものでもない。

 最も暇な時に合わせて人材を投入し、最小限の人員で業務を回すのが戦略的な人材配置というものだ。