BS(貸借対照表)を見てまず驚くのが、内部留保比率5割、有価証券比率1/3とかなり高いことだ。

 企業平均では、それぞれ25%、20%くらいだ。退職給与負債が固定負債のほとんどを占めるのも珍しい。投資有価証券の明細を見れば、そこには系列テレビ局が列記されている。日刊新聞紙法で新聞への新規参入が止められているが、その新聞社はテレビの株式を大量にもっているわけだ。これから、職員が系列テレビに天下っていることもわかる。

 PL(損益決算書)を見ると、売上げが急速に減少する中で、本業の収益はかなり悪化している。ただし、セグメント情報をみると、不動産関係は好調であり、本業の不振を補っている。

 だが電波オークションが導入されると、テレビ局も効率的な経営を迫られるから、系列テレビへの天下りは難しくなるだろう。

 となると、朝日新聞を退職した人への退職給与負債はもっと積み上げる必要が出てくるだろう。もちろん、朝日新聞からテレビへ天下っている人はごく一部だろうが、役員らの人事のキモになっているだろう。そこが崩壊すると、芋づる式に他への天下りにも波及し、結果として退職給与負債は増える可能性がある。そうなると、朝日新聞の経営に響いてくる。

 だから、電波オークション反対ということになるのだろう。導入を阻止し、当面、再販で価格カルテル、軽減税率適用で本体の体力を維持しながら、本業以外で食いつないでいこうということだろう。マスコミの将来は決して明るくない。

(嘉悦大学教授 高橋洋一)

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