株式が譲渡されない安泰な経営のなかで、オーナーが口出しをすることがないので経営陣にはなんのプレッシャーもかからない。そうして経営トップが大きな顔をし続けることになる。

 日本経済新聞などは企業の不祥事を追求する記事で「コーポレートガバナンスが重要」とよく書いているが、自分の会社が一番コーポレートガバナンスが利かないのだ。なぜなら、株式の譲渡制限があるからで、それではガバナンスなど利くはずない。

買収される恐れがないから
経営陣に緊張感がなくなる

 新聞社の株式が譲渡されないということは、つまり絶対に買収されない仕組みになっているということだ。

 さらに、その新聞社がテレビ局の株を持つ。朝日新聞ならテレビ朝日、読売新聞は日本テレビといった具合だ。そうすると、テレビも新聞社と同じようにまったくガバナンスが利かなくなる。そうして新聞社を頂点として構成されたメディアは、既得権の塊になってしまう。以上のような仕組みになっているため、新聞社の経営陣に加わってしまえば絶対安泰だ。

 世界基準で見てもこの日本のメディア構造は異常である。

 たとえば2015年の11月に、日経新聞が米フィナンシャル・タイムズを買収したことは記憶に新しい。日経新聞が、米フィナンシャル・タイムズの親会社だった英ピアソンから株式を買収して自らのグループに組み込んだのだが、これはごく普通の企業買収と言える。しかし、日経新聞のほうは株式が譲渡できないから、決して買収されない仕組みになっている。

 そんなものは商法違反でないか、と憤る人もいるかもしれない。この状態を商法の適用除外にしているのが「日刊新聞紙法」なのだ。

 この法律が、新聞社を堕落させていることに、記者も早く気がつくべきだ。自分だけ安泰な身分では、他者に厳しいことがいえるはずない。自分には甘く他者に厳しいのはあり得ない。言論で勝負する人は、「やせ我慢」が必要なのだ。

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地上波の新規参入は放送法で実質不可能

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