BPRで大幅な業務改革を行う場合、その大半がシステム化によって実施されることになるが、システム構築の際もHIT法は有効だ。業務を分析・標準化してマニュアルまで作っているので、ムダなく正確な要件定義が可能になるからだ(システム構築の事例については、導入事例の回でご紹介する)。

リスク排除と効率化を同時に実現

 HIT法はリスクマネジメントも実現する。HIT法ではチャートで業務の流れを見ながら、リスクとなる作業を改善していく。リスクには不正と不良があるが、不良が発生しがちな作業は「転記」だ。たとえば伝票の内容を経理システムへと転記入力する時点で、入力ミスが発生するリスクがある。

 この改善案として、システム化や直接入力することで、リスクの発生ポイント自体を取り除くことを考える。それができない場合、入力後の検査をせずに済むような、品質が100%保証される作業方法を考える。一方で、特に金銭に絡む不正が発生しそうな箇所には、検査作業を設定する。

「一般的な内部統制のリスク対策では、検査を強化することが推奨されています。しかし、検査回数を倍にしても、元々のリスクはなくならないばかりか、業務が増えることになります。リスクの削減と業務の効率化を同時に達成するのがHIT法の考え方です」(田代取締役)

 HIT法は個人情報流出や食品の表示ミスなどのリスクにも対応できる。ある会社では、災害発生時点から災害対策本部の設置まで、規定通りに進めると実際にどのくらいの時間がかかるのか、HIT法を使って検証したところ、なんと5日間も要することが判明した。災害発生前に気づき、規定を変更することができたのだ。