マーケティングにおけるPDCAの
どの段階においても応用が可能

 第1回で紹介した「考え方のクセ」による“情報×選択セグメント”の知見に加え、これら「ひと研究所」の3つのラボによる研究成果は、企業のニーズや課題のすべてに連動し、マーケティングにおけるPDCAのどの段階においても応用が可能になる。

 同社への相談で多いのは
「市場を拡大するにはどうすればよいか」
「新規ユーザーを獲得するための有効な方策は?」
「自社ブランドのユーザーをより若くする方法は?」
「この商品をターゲットに届けるにはどうコミュニケーションするといいか」
「実際のユーザーが想定と違ってしまったのはなぜか」
「シニアを捉えるためには、どんなコンテンツを流せばよいか」  などなど。

 こうしたニーズを分解すると、課題解決範囲は「市場分析」「ターゲット選定」「プロファイリング」「商品開発」「コミュニケーション施策」に分けられる。

問題解決範囲問題解決範囲

 例えば、新規事業開発の場合では、社会の縮図である「ACR/ex」データの出現率をベースに市場規模を推計し、詳細なペルソナを構築し、購買可能性の高いターゲットを設定することで、精度の高いマーケティングが可能となるのだ。

企業が保有するデータを統合・連携して
新しい価値を創造する
 ビデオリサーチでは2017年10月に、新たにデータ統合ソリューション「VR LINC(ブイアールリンク)をスタートした。

 これは同社が保有するACR/exやVR CUBICなどのデータを、自社DMP(データマネジメントプラットフォーム)を通して供給、企業が保有する各種データと連結・統合して、付加価値をつけるデータ統合ソリューションである。
 簡単にいえば、企業が保有していながら活かし切れていないデータを、ビデオリサーチのデータと連結・統合することで“使えるデータ”に変化させる仕組みだ。

 

「自社の会員データをリッチ化して、マーケティングに生かしたい」
「自社サイトの訪問客に“顔”をつけて、他のマーケティング施策と連動させたい」

などの企業ニーズに対応するもので、ひと研究所の知見や各種データも「VR LINC」で統合・連携されることで、データの“顔”が見えるようになり、デジタルマーケティングの世界において、さらなる価値を創造していく。   

「私たちが目指すのは、カオス化する現代社会の中で、“ひと起点”のアプローチで生活者の一歩先を見ること。当社が持つ膨大なデータから導き出される知見を活用すれば、もの起点の後追いで考えるマーケティングから、生活者にとって心地の良い道しるべをつくるマーケティングへの、革新的な転換が可能になると考えています」
と亀田所長は語る。

 唯一無二の膨大な調査データを背景にしたビデオリサーチ「ひと研究所」のユニークな活動は、従来のマーケティングを変革し、生活者の豊かさをも創造する力を秘めている。