RPAにはサーバー型と
クライアント型がある

自動化の効果を享受しながらデジタル変革への道筋をつくる

 いいことずくめのようなRPAだが、導入と運用には「コツ」が必要とされている。それを紹介する前に、RPA自体について説明しておこう。

 RPAは大きく2種類に分けられる。一つは「サーバー型」と呼ばれるタイプ。企業内のサーバーにバーチャルなPC環境を複数つくり、その中でPCの業務を自動処理させるプログラム(ロボット)を動かす。定型業務の処理が大量にある金融機関や通信会社などに向き、大幅な効率化を図ることができる。ただ、専門のエンジニアによるシステム開発が必要だ。

 もう一つは「クライアント(デスクトップ)型」。これは、人が実際に行っているPC作業をそのまま再現するプログラム(ロボット)と考えればいい。エクセルのマクロ(手順を記憶させて自動的に実行させる機能)を、複数のアプリケーションに対して持たせるイメージだ。大量のデータ処理よりも、細かく煩雑な作業を自動化することに威力を発揮する。サーバー型とは異なり、プログラマーやIT部門の力を借りず、一般社員が自由にロボットを開発することができる。

「サーバー型はロボットをIT部門で一元的に管理できるのがメリット。高いセキュリティが求められる重要な業務の自動化に向いていますが、クライアント型に比べて初期投資は大きくなります。一方、クライアント型は事業部門の人が率先してロボットを開発して自分たちの業務を自動化できるのがメリットです。もちろん、それなりに開発の知識がないとできないので、一通りの基礎トレーニングが必要です」(阿部氏)