デジタル変革への
意思統一に役立つ

 阿部氏は、次のようなRPAのメリットにも注目している。

「デジタル変革に対応するには、社員の意識共有を図ることが必要です。それができるのも、RPAの隠れた大きなメリットです。業務の模倣という自動化は最新のテクノロジーではありませんが、一般社員のITリテラシーを高め、経営陣とIT部門、事業部門が三位一体となってデジタル変革と働き方改革を同時に進めていくマインドシェアを形成するのに役立ちます」

 もう一つのメリットは、「低コストで、既存システムの改変を伴わないRPAは、失敗してもダメージが小さく、次の改善につなげられる。導入してみて初めて分かることも多いため、経験によってノウハウを積み上げていくことができる」という点だ。成功すれば、それをスケールにすればいい。

 そうしたRPAの性能をきちんと理解し、それに見合った期待値で適切に使っていけば、目に見える大きな効果が得られると同時に、デジタル変革への道筋をつくることもできる。一般社員にもIT活用の経験と気付きを与えてくれるこの貴重なツールを今こそ、上手に活用したいものだ。