アウトソーシングは職場の生態系を正常化し、離職率を低減する
またアウトソーシングには、総務スタッフが正社員でないというメリットもある。
総務のスタッフが別会社の人間で、そこにサービスを提供する契約が成立していれば、たとえば営業の人間が、総務にサービスを頼みやすくなる利点が生まれるのだ。
岡崎氏はこう説明する。「総務のスタッフが正社員であると、営業と総務は同じ会社の正社員同士という、ある意味対等な立場になります。営業の人間は、総務にものを頼みにくくなり、総務のスタッフも“なぜ同じ正社員なのに、こんなサービスをしなければならないのか”と不満を抱く。これは職場の“生態系”として自然なのですが、サービスが滞る弊害を生んでしまうのです」
それを避けるため、ときに企業は管理部門を独立させ、分社化してシェアードサービスセンターをつくることがある。だがグループ内に子会社をつくっても、やはり同じファミリーのため、互いに遠慮してうまくいかないことが多いのだ。
さらにアウトソーシングには、人材の離職率を低減する効果もある。
企業では総務部を始め管理部門に配属した人材は他部門への異動が少ない傾向があり、そのため離職率が高くなる。正社員ならばキャリアアップを図りたいし、同じ仕事を続けるにも限度がある。単調な定型業務ならばなおさらで、“自分はロボットではない”と離職を考えてしまうのだ。
「実際に人が急に辞めてしまい困っているという相談が多く、しかも作業が属人化しているため、急な配置転換もままならない。社員のキャリアを考え、適正な異動を実施するためも、定型業務をアウトソーシングに出すメリットは大きいのです」と岡崎氏。
NOCでは定型業務の請負いそのものがコア事業であり、自負を持って取り組むため、仕事に対するマインドが違う。それが自ずと業務の品質にもつながってゆくのだ。
岡崎氏は、総務の重要性と今後の在り方について、こう結論づける。
「いまRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)やHRテクノロジーなどが話題になっていますが、それらの導入の旗を振るのも、本来は総務の役割。総務は常にアンテナを立て、経済環境の変化に合わせて、企業がどう対処していかを常に考えなければなりません。また、個人情報の流出などトラブル時に、初動が遅れると企業リスクに直結します。
そのため、総務は常にバッファ(余裕)を持ってオペレーションを行う必要があります。業務を見える化して、定型的にこなせる業務はどんどん外に出してゆく。今や、管理部門における定型業務のアウトソーシングは、BtoBのシェアリングエコノミーであり、企業が素早く行動していく上で、欠かせない戦略になっています」
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