昨年8月に成立した再生可能エネルギーの特別措置法に基づく再生可能エネルギー全量固定価格買取制度が、7月よりスタートする予定だ。この制度が始まることによって、ビジネスを取り巻く環境はどう変わっていくのか。青山学院大学国際政治経済学部の小島敏郎教授に聞いた。

小島敏郎
青山学院大学
国際政治経済学部教授
東京大学法学部卒業。環境庁に入庁。環境省地球環境審議官、英国王立国際問題研究所客員研究員などを歴任。環境基本法の立案、国内の環境政策の立法のほか、クールビズなどの広報、地球温暖化の国際交渉などに携わる。主著に『霞ヶ関から…35年を考える』『ロンドンから日本を考える』などがある。

全量固定価格
買取制度開始に至る熱気

 そもそも開発着手は早かったのに、日本で再生可能エネルギーの普及推進が遅々として進まなかった理由には、「政府のエネルギー政策における『原発重視』があったから」と言うのは、青山学院大学の小島敏郎教授。

「ベース電源としてコンスタントに発電し続ける原子力発電と、自然条件により変動が大きく、系統電力における調整が必要となる再生可能エネルギーとは、元来、親和性が低いのです。政府の原発推進の姿勢が強い間は、再生可能エネルギーマーケット自体が大きく育つことは難しかった」(小島教授)

 下図にも明らかなように、政策により再生可能エネルギー普及を誘導してきたドイツと対照的に、日本は原子力発電普及を誘導してきたのである。

 それが、昨年の福島第一原発事故により、状況は一変した。日本における原子力発電は、基本的に「減らしていく方向」にシフトしたのである。