その代替として、短期的には天然ガスのコージェネレーションなど効率のよいエネルギー源を、中長期的には再生可能エネルギーを増やしていこうという気運が高まってきた。
流れを変えたのが8月末に成立した再生可能エネルギー特別措置法。その引き金を引く形となったのが、6月のエネシフ集会である。
200人を超す超党派の国会議員と国民による、日本を自然ネルギーにシフトさせるための連続勉強会(エネシフ)は、同法成立に強い危機感を持っていた。
「集会の席上、菅直人首相(当時)と孫正義・ソフトバンク社長が、原発にも化石燃料にも頼らない日本をつくろうと熱弁を振るい、菅さんは『これ以上菅の顔を見たくなければ、この法案を通せ!』とまで言い切った。あの日の盛り上がりがなければ、再生可能エネルギー特別措置法成立は難しかったでしょう」(小島教授)
その結果、国会対策における先順位が低かった同法案が一気に繰り上げられ、会期中の成立が実現した。とはいえ、エネルギー政策にまつわる守旧派と革新派の対立は激しい。
その後も、買い取り価格を決める第三者委員会である調達価格等算定委員会の人事をめぐり国会審議の差し戻しがあるなど、全量固定価格買取制度実現に向けては、交渉が繰り広げられている。
新たなマーケットを創出する
制度改革を促進
家庭などで太陽光発電によりつくった電力は、現在も使った分を差し引き「余り」を余剰電力として、電力会社が買い取っている(余剰電力買取制度)。買い取り価格はパネルの設置年度により異なり、2011年度は住宅用が1キロワット時当たり42円、工場用が同40円。この価格が10年間保証される。
それと、新たに開始する全量固定価格買取制度はどこが違うかというと、つくった「すべて」の電気を売電できる点だ。もちろん、「余り」より「すべて」のほうが設置者のメリットははるかに大きい。そのため、休耕田にソーラーパネルをずらりと並べた「電田」という発想が出てきたり、遊休地を利活用した大規模太陽光発電所(メガソーラー)への投資が話題になったりしている。