日本の医療とメディア業界。二つの業界は“ガラパゴス化”が進み、その成長や躍進は停滞しているとも言われる。だが、その業界に属しながら、イノベーティブな取り組みをしているのが、お笑い芸人であり企業の役員も務める厚切りジェイソンさん。そして、東京大学医学部出身で、医療ベンチャーの取締役医師を務める豊田剛一郎さんだ。新たな領域にチャレンジしてきた2人に、日本の医療界に対して疑問に思うことから、常識に囚われないキャリアの歩み方について伺った。(取材・文/田中一成+YOSCA、企画編集/武田鼎・FIREBUG)
「一つがダメなら全部ダメ」で
革新が起きない医療業界
──昨今、医療界の労働環境・皆保険制度などの改善を求める声が高まっていますが、日本の医療界に対して疑問に思うことはありますか。
豊田 日本の医療業界は、目の前の大きな課題や、長期的な問題について先送りされているように感じます。医療の現場に立つ人間はみんな、10年、20年後の医療の世界に危機感を抱いている。でも「じゃあどうしたらいいか」と解決策を練って行動するには至っていません。
ジェイソン なんで変わらないかというと、おそらく、権力を握っている人たちは定年退職まで長くないから、リスクを冒したくないんだと思う。次の世代に引き継いでも、たいてい彼らも数年したら引退だから冒険しない。永遠にその繰り返しだと思います。