ここで求められる役割は、メンバーの気持ちを落ち着かせることです。自分も不安で居ても立っても居られないかもしれませんが、そこを敢えてぐっとこらえて、落ち着いて見せ、楽観的に装うことです。その後に、危機に真っ向から立ち向かう勇気を奮い立たせる。それが私たちの価値であり、求められる役割です。

 ある意味、その力が今回の日本チームでは上手く展開されたのだと私は思っています。西野監督は、ベテラン中心の布陣を組みました。本田、岡崎、長谷部、香川、長友……。彼らベテランに託す気持ちを感じたのです。

 組織論の観点からすれば、監督からの一元的な指示の下で動く最強の駒ではなく、自発的、自律的に動いて、組織で勝ちを狙う。監督交代から時間がない中では、最良の選択だったのかもしれません。

 チームが自律的に動いて全体が有機体のように変幻自在に動くことを、ベテランに期待したわけです。その期待にベテランが見事に応えました。技のキレや、瞬発力、持久力では若手より見劣りするような場面が私のような素人が見てもありましたが、それでも彼らは極めて賢く判断し、試合の流れを作りました。

 若手は危機に瀕して浮足立つものです。そんな時こそがベテランの出番です。そして、経験豊富なベテランが控えていることで、若手は安心して自由奔放に動き回ることができます。安心して舞い上がることができるのです。もし重しとなるベテランがいなかったら、自分が模範にならざるを得ません。これでは舞い上がれません。結果としてプレーが萎縮してしまうものです。

 若手が手堅くまとめようとする。これでは実力通りが精一杯となります。危機に際しては、実力以上のものを発揮しなくてはなりません。そこで、ベテランと若手のコンビネーションが必要となるのです。期待を上回る成果を出すのは結局若手です。しかし、若手に奔放に成果を出させるのはベテランの役目です。一言で言うなら、「安心してひと暴れしてこい!」ということです。

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失敗した時、潔く責任を取れるか?

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