大学入試改革1期生の受験
多彩な学びとプログラムも
最後に、19年入試最大の注目点は、なんと言っても大学入試改革本格実施の24年に大学受験生となる現小6生の学校選びだ、ということにある。
先述した通り、早大政経の20年入試改革の発表があったが、ここにいわゆるeポートフォリオについて、「選抜には用いないが提出を求める」ということが書かれていた。これは即ち、eポートフォリオが24年に導入される可能性が強まった、と言えると思う。
eポートフォリオは、文部科学省が高大接続改革のツールとして進めている取り組みで、生徒自身が記入し、達成した業績を振り返り(リフレクティブ)、これを記述して、学習の内発的動機付けを促しつつ、どのような学びがあったかを申告させるものである。従来の内申書は先生が記述し評価するものであったのに対して、何らかの業績について生徒自身がそこで完結することなく、課題発見があり、それに基づいた課題追求がある、という学びを記述することになる。
こうした学びは「探究」と呼ばれており、「PBL(プロジェクト・ベースト・ラーニング)」として示されたり、あるいは学界なり研究会ないし行事におけるプレゼンテーションとして実際にはとり入れられるが、これはどのようにカリキュラムデザインされるかは、学校に、あるいは学校を通じた主催団体に委ねられる。
事例としては、玉川、開智日本橋、昌平、茗渓などIB(国際バカロレア)校や、SSHないし品川女子、佼成女子、昭和女子大附属などSGH事業指定校で、あるいは東工大、神奈川大との連携事業として少しずつ実現している。
募集上では、インター系といわれる海外大学進学も意識した広尾学園や三田国際学園など、新進の学校の人気が高止まりしているが、文化学園大杉並のダブルディプロマによるカナダの大学への進学、佼成女子のロンドン大学、大妻の英UCLなどとの提携や、武蔵学園が新規巻き返しで始めたRED(リサーチ、エッセイ、ディスカッション)プログラムなど、多彩なプログラムも今後は広がりをみせるのではないだろうか。
19年の新規開校中学は大宮国際(さいたま市立)と細田学園などいずれも埼玉県。新しい大学高校接続時代をにらんでどのような施策をみせるか期待される。
なお、2月3日が日曜日で、東洋英和などミッション系の学校が2日に移動するが、日曜日のための新しい入試もいろいろ試みられることだろう。
(森上教育研究所代表 森上展安)