加えて、銀行法違反となる「抱き合わせ販売」(投資用不動産融資の実行時にカードローン、定期預金、保険商品などを抱き合わせ販売していたという)が534件、「銀行代理業違反又はそのそれのある不動産業者」が88社、「創業家ファミリー企業への融資」が488億円、うちファミリー企業から創業家個人への融資総額が69億円、「反社会的勢力」との新規口座開設が46件、反社会的勢力と判明後にカードローンの残高増加を許容した事例が22件などとなっている。
金融業界の業界誌『週刊金融財政事情』(10月8日号)が、「スルガ銀行虚飾の果て」という同誌としてはまことに派手なタイトルの特集を組んだが、このタイトルが大袈裟ではないことがよく分かった。
「自主廃業」でもいいのではないか
スルガ銀行の不正は、大規模であり意図的なものだ。率直に言って、処分は軽すぎるのではないか。
スルガ銀行にとって、投資用不動産への融資は、預金額のざっと半分の1兆9000億円にも及ぶ残高を持つメインのビジネスなので、これを半年間止められることは痛手にはちがいないが、もともとこのビジネスをこれ以上拡大するのは危険すぎる。
直接の比較は難しいのだが、筆者の頭に浮かぶのは、山一證券の「自主廃業」(決定は1997年11月。廃業は1998年3月末)だ。山一は、二千数百億円に及ぶ含み損を「飛ばし」ていたことで、当時の大蔵省はこれを許せないと判断して廃業させることにした。
スルガ銀行は、銀行の信用で預かった預金を、十分な返済能力のない先に意図的に貸し込んでいたのだから、銀行として最もやるべきではない種類の犯罪に大規模かつ組織的に手を染めていた。山一證券の「飛ばし」に十分匹敵する悪事ではないかと思うのだが、どうだろうか。
一時、スルガ銀行のビジネスモデルを賞賛していた前金融庁長官の森信親氏、また不正が行われた時期に検査局長、監督局長を務めた現長官の遠藤俊英氏の責任を問う声もある中で、金融庁がスルガ銀行に厳しい処分を下すのはやりにくいのかもしれない。しかし、これだけの事実が明らかになったのだから、手の平を返すように厳罰を下してもいいのではないか。その方が、金融庁への評価はむしろ改善するのではないか。
金融庁は、今般組織を再編して、検査局をなくした。銀行に対してこれまで定期的に行っていた立ち入り検査を、「必要に応じて」行う形に切り替えることとして、金融機関の監督による「健全性確保」よりも「育成」に力を入れようとしている。このタイミングでスルガ銀行の問題が噴出したのは、金融庁にとって間が悪かったともいえるが、検査を軽くするのであれば、他方で不正を犯すことのコストを高めておくことが適切なのではないか。



