人事権こそが権力だ
安倍晋三首相と石破茂元幹事長の二人が立候補した自民党総裁選が、9月20日に投開票される。党員票の締め切りは9月19日だ。
選挙は蓋を開けてみなければ分からないとはいうものの、安倍氏の圧倒的な優勢が伝えられており、本稿は、「安倍総裁再選」を前提として、その影響を考える。
一部には石破氏が、特に党員票の獲得にあってどの程度善戦するかに注目する向きがあるが、善戦の程度は今後にほとんど影響を与えまい。党員票で負けた場合にいくらか印象が冴えなくなることは否めないが、安倍氏は4選を目指すわけではないし、「反省すべき点は謙虚に反省し、党のより良い運営に努めたい」とでも述べて、後は人事のバランスを操ることで、政権運営に支障はない。
任期の3年が「人事で干されるリスク」を考えると十分に長い期間であることは、岸田派を始めとする多くの派閥が安倍支持に回ったことや、総裁選での支持の動向が注目された党内随一の人気者である小泉進次郎氏が、いかにも愚図なダンマリを決め込んだことなどから見てもよく分かる。
実力を持った経営者が長く影響力を行使する企業や、パワハラとも言うべき行為に対して誰も逆らうことができないスポーツ団体などでもよくあることだが、人事権とその予想継続時間こそが組織における権力の源泉だ。