なぜスルガ銀行で不正が起きたのかスルガ銀行は革新的で優良な地方金融機関と評価されていたが… Phpto:Rodrigo Reyes Marin/AFLO

革新的で優良なはずだった
スルガ銀行の不適切融資が発覚

 これまで、革新的で内容のいい地方金融機関と評価されてきた、スルガ銀行の不適切融資の実態が明らかになった。最大のポイントは、同行の営業部門において収益を追求する姿勢が強くなりすぎたことだ。それが審査書類の改ざんなどにつながった。

 その不適切な手続きを同行の審査部門は止めることができなかった。それだけではなく、同行の経営陣もそうした不正を見逃してきたのである。通帳の偽造なども行われていたことを考えると、同行の内部管理体制はかなりずさんだったと言わざるを得ない。

 不適切な融資手続きが続いてきた背景には、恐らくいくつかの要因があっただろう。ただポイントを絞るとすれば、創業家出身のトップの存在感が大きくなりすぎた影響は大きい。その結果、営業ノルマの達成が至上命令と化し、増収増益が実現できれば多少のことには目をつむるという行動様式が組織全体に浸透したのだろう。その習慣を自助努力で正すことは難しい。

 スルガ銀行の問題発覚は、わが国の金融政策の副作用や、今後の金融監督行政のあり方を考えることにもつながる。同行の問題は、わが国の低金利環境下で金融機関が収益を確保することの難しさを浮き彫りにした。それは、金融政策の副作用の一つと受け止めるべきだ。

 また、金融庁のモニタリングが強化され、不適切な営業を行ってきた金融機関の存在が明らかになる可能性もある。それを受けて地方金融機関の経営統合が従来以上に重視されることもあるだろう。スルガ銀行の問題発覚のマグニチュードは小さくない。