遠藤新長官は、自らの責任問題について、「われわれとしてやるべきことは、今回の検査で判明した実態を踏まえて、(過去に)どこまでできたのかを検証し、今後のモニタリングの態勢をさらに強固なものにすること。それが一番の責任の取り方だと思っている」(『週刊東洋経済』9月29日号34ページ)とインタビューで答えている。
スルガ銀行にも、自分自身にも、ずいぶん優しいと言える。
「安全」とは言いにくい
筆者はこれまで、行き過ぎた融資があったとしても、高収益だったスルガ銀行の経営基盤には問題がないのだろうと漠然と思っていた。しかし、不正がこれだけ大規模で、しかも今後評判の悪化がビジネス上マイナスの影響を及ぼすであろうスルガ銀行は、銀行として本当に安全なのだろうか。
再び同行のホームページで、2018年4―6月期(2019年3月期第1四半期)の決算短信と決算説明資料を見てみた。
2018年6月末時点で、金融再生法ベースで見た自己査定による不良債権比率が急上昇していることが目を引いた。前年には総与信に占める開示額(いわゆる「不良債権比率」)が0.89%(292億円)だったものが、4.27%(1356億円)に急拡大している。
銀行の安全性の目安となる、リスクアセットなどに対する自己資本比率は、12.14%(自己資本・コア資本は3283億円)と一見健全に見えるが、約1080億円の毀損が生じると自己資本比率が4%低下すること、投資用不動産融資が1兆9000億円もあること、しかも不動産業界で他行では融資のつかない不良案件がスルガ銀行に集まっていることなどを考えると、「現段階で既にスルガ銀行が安全だとは言えない」という印象を持つ。
地方銀行なので自己資本比率の規制は4%なのだが、もともとこの規制は不十分なものだし、8%を割ると預金者の不信が高まるのではないか。しかも、スルガ銀行の1兆9000億円の投資用不動産融資に1000億円を超える追加損失が潜んでいる可能性は誰にでも十分想像できよう。つまり、預金の大量引き出しはいつ発生してもおかしくない。
また、スルガ銀行の問題を受けて、他行が不動産融資に対する審査を厳格化する動きがあるとも報じられている。限界的な案件に融資がつきにくくなることは、不動産需要の縮退を通じて、不動産相場全体にマイナスに働き、このことがスルガ銀行の債権価値をさらに毀損する方向に働くはずだ。
10月5日の有國三知男社長の記者会見で、他の金融機関との提携の可能性に関する質問が出ているが、記者の目から見ても、提携ないし資本増強しなければ経営的に難しいと映ったのだろう。



