現在、境町の外国語活動専任教師は17名。全員がフィリピン人だ。しかも、「ただ英語がしゃべれるというだけの素人じゃない。全員、フィリピン大など地元の一流大学を卒業し、元英語教師、弁護士、官僚などレベルの高い人ばかり」だという。

境町の英語教育に関するパンフレット境町の小・中学校を卒業すると英語が喋れるようになる」と書かれたパンフレット Photo by N.N.

 実際に小学5年生の授業風景を見学させてもらったが、2名の若いフィリピン人女性教師(補助で日本人教師1名)がつき、授業はすべて英語で行われていた。イラストを見ながら、英語の歌をうたったり、踊ったり、とにかく動きが激しい。まさに「体に覚え込ませる」英語教育。退屈そうな生徒は1人もいない。笑顔があふれ、実に楽しそうなのが印象的だった。

 フィリピンでは毎年30万人の大学生が卒業するが、就職難に加え、給与水準が低いこともあり、優秀な人材の多くは海外を目指す。今後、境町の取り組みが成果を上げていけば、全国的にもフィリピン人教師を採用する学校が増えていくだろう。

カネがないなら知恵を絞って稼げ
財源は全てふるさと納税

 フィリピン人教師17名の人件費や家賃を含め、新たな英語教育に関わる費用は年間1億円ほどかかるという。そのすべてをふるさと納税の寄付金で賄っているのがユニークな点だ。

 橋本町長は、「2014年の町長就任時、町の財政は危機的状況でした。このままでは“夕張”になってしまう。しかし、何でもカットというやり方では、モチベーションが失われてしまう。そこで私は、稼ぐ道を選んだ」と語った上で、具体的な方法について説明した。

 「ふるさと納税に力を入れたのもその一環です。寄付金額は順調に伸び続け、就任当初は6万円程度だったのが、2016年度には17億円を突破。それをできるだけ有意義に使おうと考えた結果、人づくりに投資することにしたんです。寄付金から6億円を積んで基金をつくり、グローバル人材を育成する目的で新しい英語教育をスタートさせました」

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14年ぶりに人口増に転じる 中小の町レベルでは奇跡的なこと

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