財政破綻をしてから10年、人口がおよそ3割減少した北海道夕張市。市内に唯一ある高校・夕張高校も生徒数の減少に悩まされていた。そこで高校や夕張市、さらには生徒たちまでが一丸となって取り組んでいる、夕張高校の”再生プロジェクト”が成果を出している。
特別授業やオンライン英会話も
夕張高校が取り組む学校改革
かつて「炭鉱のまち」として栄えた北海道夕張市が財政破綻してから、10年が経った。その間に市の人口はおよそ3割減少。特に子どもの減少が著しく、学校は統廃合が進み、現在は市内に小・中・高校がそれぞれ1校ずつ残るのみ。そんなネガティブな面ばかりが目立ってきた10年間だった。
しかし、今、夕張市は前を向いている。昨年から「RESTART! Challenge More!」をスローガンに掲げ、未来に向けて希望の持てるまちづくりの推進に取り組み始めた。
その一端を担っているのが、市内唯一の高校である夕張高校の生徒たちだ。「私たち市民が夕張を自慢できるようになりたい」。そんな思いで自ら動き出した彼らに注目してみたい。
夕張高校の生徒数は年々減少し、今年度は全校で74人。交通の問題により市外からの生徒の確保が困難で、通っているのはほぼ地元の子どもたちだ。しかし、地元夕張中学校から同校への進学率は、5年前の約9割から今年度は約5割にまで低下した。このまま生徒が減っていくと、学校存続も危うい。もし地域に高校がなくなれば、子育て世帯の流出にいっそう拍車がかかる…。
地域のためにも、再び地域の子どもたちから「進学したい」と思われる魅力的な学校にならねばならない。そんな使命感をもって、同校は学校改革に乗り出した。東京の高校との交流や、地域から講師を招く特別授業、オンライン英会話による英語力向上策など、昨年からさまざまな新しい取り組みが始まった。来年度からは海外研修などの体験的プログラムも予定されている。