「僕は若いから試合に出しているわけじゃなくて、若くて責任を持てるから試合に出している。偉そうな言い方ですけど、僕たち指導者がそういう目を向けていかないと、若い選手はいつまでたっても伸びない。若いということは、イコール、ミスもする。それをどのように許容するかという点で、指導者やクラブのスタンスが試されていると思っています」

18歳の齊藤に「キャプテンマーク」
責任感を引き出す大胆な方策も

 責任感を引き出すために、周囲を驚かせる大胆なアプローチも施してきた。齊藤は昨年6月のV・ファーレン戦で18歳にして、杉岡は今年9月の川崎フロンターレ戦で20歳にして、それぞれ左腕にキャプテンマークを巻かせてピッチへと送り出している。

 若手にゲームキャプテンを任せる手法は初めてではない。コーチから昇格する形で、初めて監督を務めた2012シーズン。キャプテンマークを巻いた当時19歳のDF遠藤航は心身両面で成長を遂げ、2015年8月にはベルマーレ平塚時代のFW呂比須ワグナー以来、実に17年ぶりに日本代表としてプレーした。

 翌2016年には強豪・浦和レッズへ移籍。同年のリオデジャネイロ・オリンピックでキャプテンを務め、出場機会は得られなかったものの、今夏のワールドカップ・ロシア大会代表にも選出された。今現在はベルギーのシントトロイデンVVで活躍し、森保ジャパンではボランチとして存在感を放ちつつある。

 前出のV・ファーレン戦でフル出場した齊藤は、後半の途中で心が折れかけた瞬間がある、と指揮官の目には映っている。今年2月に発表した2冊目の著書『育成主義 選手を育てて結果を出すプロサッカー監督の行動哲学』(株式会社カンゼン刊)で、当時の齊藤に関して曹監督はこう綴っている。

 「自分の思う通りにプレーができない状況が続いていたところへ、相手にボールを奪われた時だ。それでも必死にメンタルを立て直した齊藤は、最後までピッチに立ち続けた。左腕に巻いたキャプテンマークが、齊藤に歯を食いしばらせたと思っている」

 杉岡に対しても同じ図式が当てはまる。ルーキーイヤーから前面に押し出されてきたがむしゃらさが、影を潜めつつあると指揮官の目には映っていた。だからこそ「今日はあえて任せる」とキックオフ直前に声をかけ、オレンジ色のキャプテンマークを手渡した。試合後の杉岡はこんな言葉を残している。

 「キャプテンマークを巻いている以上はやらなきゃいけないと思いますし、そういう責任感を持ってプレーしました。ただ、巻いていなくても、そのくらいやらないといけない」

次のページ

選手たちを成長させるキーワードとは?

TOP