開催がいよいよ来年に迫った東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会。この一大イベントを支援する企業の動きもいよいよ活発になってきているが、そもそも企業がスポーツイベントを支援する根拠とは何か、それを問う良い機会でもある。企業がスポーツを支援する意義、そしてそれを実現する体制づくりとはどうあるべきなのか。90年以上にわたりオリンピックを支援し続け、東京2020大会にも深くコミットしているコカ・コーラ社の取り組みに、そのヒントを探る。
変わりつつあるスポーツイベントと
企業のスポンサーシップ
2018年8月、日本コカ・コーラは「東京2020オリンピック聖火リレープレゼンティングパートナー」の第1号になったことを発表した。今後、2020年に向けて、オリンピック聖火ランナーの募集を始め、大会開幕前から始まるオリンピック聖火リレーに連動した取り組みを展開していくことになる。
さらに、12月には東京2020パラリンピック競技大会のゴールドパートナーになったことも発表された。もとよりコカ・コーラ社は、ワールドワイドオリンピックパートナー13社の中で最も長く、1928年のアムステルダム大会以来、90年以上オリンピックをサポートしてきた企業である。今回のオリンピック聖火リレーおよびパラリンピック競技大会のパートナー締結によって、コカ・コーラ社と東京2020大会の結び付きはいよいよ強固なものとなっている。
CSR活動、ESG投資の呼び込み、SDGsへの取り組みなど、「公益性」が企業活動の欠かせない要素となっているが、スポーツイベントへの協賛もまた、そうした活動の一つと考えられる場合が多い。しかし、オリンピックのように大規模なスポーツイベントを継続的に支援していくのは簡単なことではない。日常的な企業活動との整合性、ステークホルダーの理解、継続的支援を可能にする組織体制などがなければ、責任あるパートナーとしての役目を果たすことはできないだろう。コカ・コーラ社は、東京2020大会をサポートするに当たって、そのような課題をどうクリアしようとしているのだろうか。