オリンピックは
人材育成の場となるか
高橋氏はまた、オリンピック・パラリンピック競技大会を企業としてサポートすることの意義の一つに「人材育成」を挙げている。
「自国開催のオリンピック・パラリンピック競技大会にパートナーとして関わることができる。これはまさしくかけがえのない経験です。例えば、大会期間中に現場スタッフは選手村や競技会場に製品を何度も届けることになります。その中でアスリートに直接会うこともあるでしょうし、感謝の言葉をもらえることもあるかもしれません。また、世界中のアスリートと接する中で、ダイバーシティを肌身で感じることにもなるでしょう。そのような体験は、今後の仕事に必ず生きてくることになるはずです。オリンピック・パラリンピック競技大会は、将来のコカ・コーラ社の中核を担う人材の育成の場になる。そう私は信じています」
コカ・コーラ社は「東京2020」ではなく「ジャパン2020」という意識で大会に臨むと高橋氏は強調する。日本コカ・コーラだけでなく、製品の製造・販売を担う全国5つのボトラー社や工場などを含めた「コカ・コーラシステム」全体で大会を盛り上げていくということだ。オリンピック聖火リレープレゼンティングパートナーとなったのも、3カ月強をかけて47都道府県を回るオリンピック聖火リレーに関わることがジャパン2020の実現につながると考えたからだ。
コカ・コーラ社は過去の大会において、翻訳ガイドブックの制作やピンバッジを選手や観客同士が交換する「ピントレーディング」など、独自の企画を実現してきた。東京2020大会の企画はまだ計画中だが、現在、「コカ・コーラ社のアセットと新しいアイデアを融合させた斬新な企画」を考案中だ。
「1964年の東京大会を経験した人たちは、一様に“オリンピックは忘れられない一生の思い出になった”と言います。今回の東京2020大会で、社員たちには“コカ・コーラ社にいたからこそ一生の思い出ができた”と感じてほしいし、観客の皆さんにはコカ・コーラ社のイメージと共にオリンピック・パラリンピック競技大会の素晴らしい記憶を刻んでほしいと思っています」
2020年に向けて、コカ・コーラ社は、企業がスポーツイベントにコミットする一つの形を示してくれるだろう。その動きを注視していきたい。
日本コカ・コーラ株式会社 https://www.cocacola.co.jp/