斬新なネーミングでヒットした「お~いお茶」。時代に先駆けて、暮らしに密着した商品を生み出す源には創業時からのフロンティア精神がありました――。オンライン消費者コミュニティの開発・運営を手がけるクオン株式会社の武田隆代表取締役が、株式会社伊藤園広告宣伝部部長の横田功氏に、同社の「企業の遺伝子」を聞いた。
(この記事は2017年6月8日収録のラジオ番組『企業の遺伝子』の内容を活字にしたものです/オリジナル番組制作:JFN、番組企画:クオン株式会社、画像提供:株式会社伊藤園、構成・編集:編集工学研究所、番組パーソナリティ:武田隆、春香クリスティーン)

横田功(よこた・いさお)
1993年伊藤園入社。埼玉・群馬県で4年間ルートセールスを経験後、マーケティング部に配属、セールスプロモーションを担当。自動販売機・販売店の店頭企画、マストバイキャンペーン等の実務に12年間携わり、2009年より広告宣伝部所属。現在、TVCM・ウェブコンテンツ企画制作・PR・「お~いお茶新俳句大賞」等の広告宣伝業務全般を統括。社内資格制度「ティーテイスター」2級。「お茶セミナー」の講師なども務めている。横田功(よこた・いさお)
1993年伊藤園入社。埼玉・群馬県で4年間ルートセールスを経験後、マーケティング部に配属、セールスプロモーションを担当。自動販売機・販売店の店頭企画、マストバイキャンペーン等の実務に12年間携わり、2009年より広告宣伝部所属。現在、TVCM・ウェブコンテンツ企画制作・PR・「お~いお茶新俳句大賞」等の広告宣伝業務全般を統括。社内資格制度「ティーテイスター」2級。「お茶セミナー」の講師なども務めている。

春香 伊藤園といえば「お~いお茶」というイメージがありますが、まずは会社の成り立ちについて教えていただけますか?

横田 創業者は本庄正則、八郎という兄弟です。二人は神戸の出身で、上京して東京で働いていたそうです。その後、伊藤園の前身である「フロンティア製茶株式会社」を静岡県静岡市で創業しました。1966年のことです。

春香 もともと静岡のお茶屋さんだったわけではないんですね。

「フロンティア製茶」として創業

横田 はい、最初は食品を扱う問屋の仕事をしていたそうです。いろいろな食品がある中で、特にお茶の可能性に注目して会社を設立したのが始まりです。

春香 当時のお茶はどのように販売されていたのでしょうか?

横田 その頃市販されていたお茶の葉は、和紙に包まれていたそうです。でも和紙だと湿気でお茶が傷んだり、香りが移りやすいという問題点があった。そこで、今では当たり前ですが、アルミ蒸着でラミネート加工した袋に入れれば湿気はないし、鮮度も維持できる。この個包装したパック茶を量販店さまに提案して売っていたと聞いています。

武田 目のつけどころが鋭いですね。社名の「フロンティア」が、新しい市場を開拓していこうという精神を表していますね。

横田 そうですね。失敗を恐れず新しいことにチャレンジしていこうという意味を込めたんだと思います。その姿勢は、今の社員にも受け継がれています。

世界初の「缶入りウーロン茶」発売

春香 世界初の缶入りウーロン茶を発売されたのも伊藤園さんだと聞きました。

横田 はい。1969年に伊藤園という屋号に変えて、約10年後に世界初の缶入りウーロン茶を発売しました。ただ、当時はお金を払ってお茶を買うという習慣はなかったんです。だから新しい市場をつくっていったんですね。

春香 お茶は家で急須で淹れるもの、と思われていたわけですよね。にもかかわらず、どうして売れたのでしょう?

横田 ちょうどコンビニエンスストアができ始めて、お弁当やおにぎりが売られるようになった時代です。ライフスタイルの変化によって、外でも気軽にお茶を飲む時代になっていくだろうと見越して、缶入りのお茶をつくったんですね。