プロがお勧め! 
男を格上げするスーツは銀座であつらえる

毎日何気なく着ているスーツ。実はビジネスパートナーや部下はさりげなくチェックしているし、自身は気付かないが周囲に違和感を与えていることもある。そこでエグゼクティブらしい選びや着こなし、気をつけるべきポイントなどを松屋銀座紳士服バイヤーの粟竹 将氏と紳士服をよく知るスタイリストの森岡 弘氏にうかがった。

スーツは男の格上げ服。
信頼を得られる正統派な着こなしが正解

プロがお勧め! 男を格上げするスーツは銀座であつらえるファッションディレクター&スタイリストの森岡 弘氏(左)と松屋銀座 紳士服MD課バイヤーの粟竹 将氏(右)。自身のキャラクターを見極めた端正な着こなしの二人

粟竹氏(以下、敬称略) 松屋銀座の紳士服売り場にスーツをお求めに来られる方は、会社の二代目や、役職が上がりこれからエグゼクティブになる方が多くいらっしゃいます。どのようにスーツを着こなすことで、きちんと見えるのか、また立場に相応しい装いになるのか、ご相談を受けることがよくございます。また童顔なので貫録を出したいといったご要望もありますね。そういった方にはスーツにベストを加えたスリーピースやダブルブレストをお薦めします。

森岡氏(以下、敬称略) エグゼクティブのスーツスタイルにおいて何が重要かというと、信頼される装いである事、極端な話で言うとビジネススーツで仕事ができる男に見えるという事ですよね。仕事に対しての真摯な意識が相手に無言のうちに伝わるか、という事でもあります。

 スーツといえどもさまざまなものがあります。仕事着スーツもあれば、お洒落スーツもある。その範囲を自身でしっかりと分けておかないといけない。

 エグゼクティブに見られたい、ということは、すなわち仕事ができる人として見られたい。その場合、とても大切な事はサイジング。体にぴったりしているスーツはいいのですが、ぴったりし過ぎると格好よくは見えるかもしれませんが、決して仕事のできる人には見えない。ここは重要で、勘違いされている方がとても多いのです。男性は格好良くなりたい、という気持ちが必ずあるのですが、今、タイト気味のスーツが流行りなのでもっと細くもっと細く、としがちなのですが、重要なのはタイトに見えることではなくシャープに見えることなんです。そういった場合、サイジングを調整できるスーツのカスタムオーダーという選択がお薦めです。

 その中でベストを加えたスリーピースを選んだり、ダブルのスーツを選んだりというのもいいのではないでしょうか。エグゼクティブには誰よりも意識の高い男に見えるという装いが必要です。

粟竹 タイトにしたいというお客さまはとても多いですね。お尻が出るくらい着丈を短くしたい、という方も。しかしそれはスーツ本来の着こなしから外れてしまいます。お客さまの要望に応えつつ体型にあったサイジングでジャストサイズのものをお作りする、というカスタムオーダーをお薦めしています。

森岡 エグゼクティブを目指す方は、自らどういうスタイルが必要なのか、を知っておくべきです。例えばテレビで見かけたタレントが着ていたスーツが格好良いな、と思っても、それは着るシチュエーションが異なる。自分の中できちんとドレスコードを持っていないといけない。仕事が出来る男に見られたい、というならば自分の服装にも責任を持つ必要があるという事なんです。

 どう見せたいか、どう見られたいか、どう見られてしまうか。初めて会って名刺交換する時も7、8割は見た目で第一印象が決まるんです。加えてどれほど良いスーツを着ていても、ネクタイをきちんと締められないと、スーツの良さを発揮できない。コーディネートが良くても自身できちんと着られる事が前提であり、スーツ、シャツ、ネクタイそして着こなし方が三位一体でないと駄目なんです。

粟竹 第1ボタン外してネクタイを締めていたり、曲がっていたり、長かったり、またはシャツの衿元が重なっていたりはだらしなく見えますね。

森岡 そうですね、良いスーツを着ることが第一条件、そしてきちんと正しく着こなすことも条件として挙げられます。

粟竹 どんなに良い生地を選んでスーツを作っても、サイズが合っていないと話しになりません。例えば1着1万5000円のサイズが合っているスーツと何十万円もするスーツでもサイズが合ってないのでは、絶対的に1万5000円のほうが仕事のできる人に見えます。サイズが合っているということが最も大切です。

森岡 端的に言えば、スーツは男の格上げ服なんです。格上げするためには、サイズが合っているという事は必須なのです。サイズ、というのは全体のバランスが取れている、という事を含めてです。既製服というのは最大公約数で作られているものなので、自分のサイズを選んでも正しく合っているわけではありません。長さや量感などを直さなくてはならない場合が多い。さまざまなディティールを直すのならばカスタムオーダーであつらえる事をお勧めいたします。

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