航空機の安全性は「自分の頭で考える」
副操縦士の存在で高められる
横田氏は、後進の指導にあたり「自分の頭で考えるパイロットを育てる」ことを目標の1つにしている。
例えば、現在の旅客機は機長と副操縦士の2人体制で操縦することになっているのだが、横田氏によれば、機長だけでなく副操縦士にも「自分の頭で考える」ことが求められる。副操縦士だからといって、問答無用で機長の指示に従えばいい、ということでは決してないのだ。
機長だって人間だ。めったにあってはならないが、錯覚や勘違いも起こりうる。リスキーな事象やその兆候に気づかなかったり、軽視したりすることも考えられなくもない。
従って副操縦士は、常に機長と同じ条件、同じ情報を持ち、それらをもとに自分の頭で考え、機長の誤った判断や行動を指摘できなければならない。その指摘の一言が、結果的に危険を回避し、多くの人命を救うかもしれないのだから。
もし指摘したことが杞憂に終わり、副操縦士よりも機長の方が正しかったとしても、それが副操縦士の学びにつながる。機長がどんな情報から、どう判断したかが理解できるからだ。
百に一つでも副操縦士が正しければ、機長がその意見に従うことで航空機の安全が確保される。
つまり、いずれにしても、自分の意見を言える副操縦士を育てることが、航空機の運航の安全性を高めることになるのだ。
他業種には、優秀なリーダーがなかなか育たないとか、後継者たる人材がいないなどと嘆く経営トップが少なくないようだ。
それは、もしかすると人材を「自分の頭で考える」ように育てていないからかもしれない。周りにイエスマンばかり置こうとはしていないだろうか。
本書には、あらゆるビジネスに共通する危機管理や次代のリーダー育成のヒントとなる原理原則が満載されている。自らがリーダーシップを発揮してリスクに立ち向かう、あるいは優れた人材を育てる方法論を引き出してみてはいかがだろう。
(文/情報工場シニアエディター 浅羽登志也)




