読書の秋に読みたい「ビジネス力&教養力」爆上げの3冊! 書評のプロが選んだオススメ本とは?写真はイメージです Photo:PIXTA

今年も暑かった夏がようやく終わり、秋らしい気候になってきた。「○○の秋」という枕詞はいくつもあるが、やはりここは定番の「読書の秋」を意識したい。暑くもなく、寒くもなく、思索するにはちょうどいいこの季節にオススメの3冊をご紹介しよう。

筆者はビジネスパーソンの必読書を厳選し、その要点をダイジェストにまとめて配信するサービス「SERENDIP」のチーフ・エディターを務めている。今回はSERENDIPで好評の書籍から、3冊を厳選した。(情報工場「SERENDIP」チーフ・エディター 吉川清史)

広大な宇宙の謎の一つ
「宇宙線」のすごさに迫る

「秋の夜長」とは、夏と比べて実際に日照時間が短くなったこと以外に、寝苦しいほどの暑さから解放され、夜が過ごしやすくなったことも指す言葉だ。空気が澄み、「中秋の名月」と謳われるように、月や星がきれいに眺められる季節でもある。

 夜空を見上げながら、広大な宇宙の謎に思いを馳せることもあるだろう。その「謎」の一つに「宇宙線」がある。そこで今回、最初に紹介する本に、『宇宙線のひみつ』(ブルーバックス)を選んだ。

 大阪公立大学大学院の物理学専攻、藤井俊博准教授が、自身の研究対象である宇宙線について、研究の歴史と最前線の成果を含め、わかりやすく解説する新書だ。

 宇宙線と聞いてもピンと来ない読者が多いかもしれない。著者によれば、宇宙空間に存在する高エネルギーの粒子で、放射線の一種。はるか宇宙の果てからやってきて、地球に降り注いでいる。

 放射線が上空から降ってくるといっても、人体への影響はほぼないので、心配いらない。宇宙線は地球を取り巻く大気や磁場に遮られ、50分の1ほどの量になるからだ。

 宇宙線の研究は、われわれの普段の生活に直結するものではないが、生命の起源や生物進化、気候への影響、暗黒物質(ダークマター)などの解明に結びつく。世界中の研究者が宇宙線の研究を進めているが、いまだに謎が多く、その全貌は明らかになっていないようだ。