問題は、運営元の財務内容だ。「10年前から大幅な債務超過状態にあった」と帝国データバンクの内藤修氏は明かす。2009年9月時点の負債総額は9億6300万円に上っていた。特に、銀行からの借り入れが重く、固定負債は8億8600万円に上る。借入の大半はメインバンクである東日本銀行からの融資によるとみられる。そして、(資産から負債を引いた)純資産はマイナス9000万円の債務超過に陥っていた。
そのようなジリ貧状態で事業を継続してしまっていたのはなぜか。その背景には、2009年に施行された中小企業金融円滑化法の存在がありそうだ。同社は負債の元本を返済することなく、利子のみの返済で済んでいたと考えられる。
ある“巧妙な集金スキーム”もまた、貝塚学院の延命に使われていたフシがある。それが、貝塚学院の保護者が「債券」と呼んでいる預かり金制度だ。保護者から入会金や月謝以外に「債券」という名目でお金を預かり、実際の債券のように運用して利子を付けて返すという制度を導入していた。利息が付くという旨味があるという理由で債券を購入する保護者も多く見られたようで、4月から入園予定だった保護者も園への入金を済ませていた。
そして、この「債券」こそ、貝塚学院の当座の運転資金となっていた可能性が高い。そもそも、学校法人での「学校債」は存在するが、この施設は学校法人ではない。保護者といえども不特定多数からの預かり金を得ることは出資法違反となる疑いがある。またそれ以前に、債務超過の財務実態で返済できる見込みが本当にあったのかという問題がある。
「一般的にはこうした例は詐欺罪が問われる。返せないという認識がいつからあったのかが争点になるだろう」とみずほ中央法律事務所の三平聡史代表弁護士は話す。
晴れがましい新入園の日を目の前にした突然の破綻。“晴れの日”のトラブルと言えば、成人式の晴れ着トラブルを起こした振り袖の販売・レンタル業「はれのひ」の事件が記憶に新しい。こちらは、昨年末に元社長が実刑判決が下されたばかりだ。
貝塚学院が破産申請するか否かは一両日中に行われる見込み。第2の「はれのひ」騒動が勃発することになりそうだ。
(「週刊ダイヤモンド」委嘱記者 相馬留美)



