長男は保育園、
次男は幼稚園へ

久保田カヨ子
(Kayoko Kubota)
1932年、大阪生まれ。
脳科学の権威である京都大学名誉教授・久保田競氏の妻で2人の息子の母。約30年前に、日本における伝統的な母子相伝の育児法を見直しながら、自身がアメリカ在住時と日本で実践してきた出産・育児経験をもとに、夫・競氏の脳科学理論に裏づけされた、“0歳から働きかける“久保田式育児法〈クボタメソッド〉を確立。この20年で3000人以上の赤ちゃんの脳を活性化させてきた。テレビなどで「脳科学おばあちゃん」として有名。2008年、株式会社『脳研工房』を立ち上げ、現在代表取締役。著書に、累計34万部突破のシリーズ『カヨ子ばあちゃん73の言葉』『カヨ子ばあちゃんの男の子の育て方』『カヨ子ばあちゃんのうちの子さえ賢ければいいんです。』『赤ちゃん教育──頭のいい子は歩くまでに決まる』『カヨ子ばあちゃんの子育て日めくり』(以上、ダイヤモンド社)などベストセラー多数。ズバッとした物言いのなかに、温かく頼りがいのあるアドバイスが好評。全国からの講演依頼もあとをたたない。
【株式会社脳研工房HP】 http://www.umanma.
co.jp/

 私は2人の息子をベタベタとかわいがって育てましたので、息子たちはわが家ほど居心地のよいところはなく、母親がいればなにもいらないと思って育っていました。

 ひとり遊びはいくらでもできましたが、2人とも近くの私の実家でさえ泊まろうとはしませんでした。

長男は保育園、次男は幼稚園に通わせました。
 3歳で保育園へ通い始めた長男は、送迎バスが行ってしまっても泣き声が聞こえるほど連日泣きました。

 次男は幼稚園の年長組に入ったのですが、半年近くも正午になると、「ママに会いたいよー」と言って大泣きしました。

 それでも2人は園に行かなくてはならないと思っていましたので、行くのはイヤだと言って休むことは1日もなかったのです。

 長男には私が仕事をしなくてはならないことを、次男には学校へ行く前に団体生活をする必要があることを、よく言い聞かせていたのと、私の命令は自分のためになされているという信頼感を植えつけていたからです。

 幼児は、自分の身のまわりの世話を心をこめてしてくれる保護者のそばが好きで、その絆が太いほど離れたがりません。

なぜ、園を休ませてはいけないのか?

 よく最初に通わせるおけいこごとや、保育園・幼稚園を、幼児がイヤがるという理由だけで気軽に休ませるのを見かけます。

「小さいから仕方がない」
「こんなにイヤがるのに、行かせるのはかわいそうだから」
「幼稚園のうちは休ませても」
 と弁明する親は、自分の子を年齢以下の能力の持ち主と見て保護しているばかりか、園を子守の場と考え、園で学び取るものを考えていないのです。

 決められた学課を勉強する小学校なら休ませないが、園は休ませてもいいというのでは、教育ママとそしられても仕方ありません。

 幼児の学習は「いろは」だけでなく、あらゆる行動が大事と考え、園へ通わすようになったら、よほどの理由がない限り休ませないでください。

「イヤなことでも、しなくてはならないことがある」という義務感の初歩を、通園することで教えてほしいのです。

 また親は、わが子が生活環境の変化にどのように適応していくかを、観察しなくてはなりません。

 なにか問題があれば、親はそれまでの育児を反省し、子のヘルパーになって1日も早く適応できるようにしてやり、園を休むことでお茶をにごしてはならないのです。

 毎日の園生活で疲れやすく、熱を出すようなら、体を鍛えてやらなくてはなりませんし、早引きさせてもらって調節したりしなくてはなりません。

 私も息子たちを送り出して、そーっと園での様子を探り、泣く理由を解明し、保母さんと相談しながら方策を立てなくてはなりませんでした。

 私はいまでも、息子たちの泣くのを気にせず、泣かせっ放しにして他のお友達に「放っておいてあげようね。きっと泣かなくなるよ」と言ってくださった先生と、自分も泣きたくなるのを我慢してくれたお友達に感謝しています。