6月上旬、中国では通称「高考」と呼ばれる大学統一入学試験が行われる。これによって、受験生はその後の人生が決まってしまうといわれるほどの一大イベントだ。この間、中国全土は“戦時下”のような雰囲気に包まれる。受験生への配慮や気の使いようは“異常”ともいえるほどで、この入学制度のあり方や受験生への対応については、中国国内でも疑問視する声もある。(日中福祉プランニング代表 王 青)
中国大学統一入学試験は
まるで“戦時下”のような状態
6月7日~8日の2日間(地域により7日~9日の3日間もある)、中国大学統一入学試験(通称「高考」)が行われた。今年は約900万人を超える受験生が試験に臨んだ。この2日間で12年間の学習成果が試され、激しい競争を勝ち抜けるかどうかで、これからの人生が決まってしまうのだ。
この2日間の様子は、中国がまるで“戦時下”にあるといっても過言ではない。それほど緊迫して重々しい雰囲気なのである。政府関連機関は事前に対応策など準備を万端にする。世間全体も受験生にやたらと配慮し、「高考」一色となる。特に今年の高校3年生は2000年に生まれであり、「21世紀のミレニアム世代」として注目されている。
その様子は、中国国内だけではなく、海外のメディアにも注目されて大きく報道されるほどだ。
毎年のことだが、この数日間は、試験会場周辺の道路が車両通行止めになる等、交通規制が実施されるのだが、これは受験生たちがスムーズに到着するためだ。それ以外にも、受験生が安心して受験できる環境を作り出すため、高考期間中は試験会場周辺500メートル圏内で騒音が出る全ての工事、作業が禁止される。
受験開始時刻に遅れないため、大手タクシー会社は1週間前から予約専用の電話回線を設けて、専用車の予約を受け付ける。そして、会場周辺のホテルは数ヵ月前から予約で満室となる。