マクロン仏大統領が
親EU派のキングメーカーに
こうしてポピュリストが草刈場とする欧州議会は、かつては諮問機関や監督機関としての役割が中心だったが、現在は加盟国の閣僚で構成されるEU理事会とともに、EUの共同立法機関として位置づけられる。
EUの主要な立法作業には欧州議会の同意が、国際条約の締結にも欧州議会の承認が必要となる。また、欧州委員会が提出する予算案に拒否権を持つほか、加盟国首脳で構成される欧州理事会が指名する欧州委員会の委員長の承認権限を持つ。このように、欧州議会の権限は過去に比べて大幅に強化され、EUの立法、予算、人事に広範な影響力を持つ。
現実問題としては、欧州議会の決定は多数決が原則で、EUに懐疑的な勢力が議会の3割近くに上ったとしても、直ちにEUの政策決定に影響力を及ぼすことはできない。ただ、主流会派の意見が食い違う分野では、ポピュリストが政策の決定権を握る恐れがあるほか、EU予算から議員数に応じた手厚い政党助成金を受け、議会での発言機会やメディア露出を増やし、有権者への可視力を高めていく。
こうして欧州議会で市民権を獲得したポピュリズム政党は、各国の国政選挙や地方議会選挙でも主流派政党にとって脅威となっていく。
今後の注目点としては、会派協力とポピュリズム勢力の団結の行方が挙げられよう。過半数割れした2大会派が、ポピュリストの影響力を排除し、安定した議会運営を行うには、別の親EU会派の協力が不可欠だ。
そのキングメーカーとなりそうなのが、フランスのエマニュエル・マクロン大統領だ。マクロン氏が旗揚げした中道政党・共和国前進は、他の中道勢力を結集し、2大会派との連携を模索していくことが予想される。今後のEU改革や欧州議会選後に本格化するEU主要機関トップの人選でも、マクロン大統領の発言力が増しそうだ。
ただ、会派間の主導権争いもあり、親EU会派間の意見調整が今以上に難しくなるのは避けられない。ユーロ圏共通予算、金融安全網の再強化、銀行同盟の完成、難民対応、気候変動対策など、次の執行部に引き継がれるEUの政策課題が前に進まない恐れがある。



