また、クオータ100の導入によって早期退職が相次いだため、熟練労働者を中心に人手不足が深刻化しつつあるようだ。コンテ政権は、クオータ100の導入で早期退職が増えれば、長年の課題である若年層の雇用創出につながると強弁を張っているが、スキル・ミスマッチの問題があるため、そうした効果は望み難い。
加えてコンテ政権は、移民に対しても厳しいスタンスで臨んでいる。そのため移民労働力の流入も先細りすれば、人手不足は本格化してしまう。これらのことから、イタリアでは今後、人手不足に伴う賃上げ圧力を受け、コストプッシュ型のインフレが加速するリスクが出てきている。
企業の資金需要が減少
銀行の経営不安が再燃するリスクも
コンテ政権によるバラマキ政策は、金融面でもイタリア経済に悪影響を与えており、特に銀行の経営環境の悪化という形で表れている。長引く景気低迷を受けて、イタリアでは不良債権問題が深刻化し、不良債権比率は最悪期であった15年第2四半期には18.2%と、先進国では異例の高水準に達した。
その後はモンテパスキ(MPS)など、経営悪化が深刻な銀行に公的資金が注入されたことや、銀行間で不良債権処理に向けた協力体制(共通する貸出先の不良債権処理を協力して行うこと)が整ったことなどから、18年に入ってイタリアの不良債権比率は10%を下回るなど、問題の改善が進んでいる。
ただ、銀行の収益環境は厳しい。不良債権問題や景気低迷の長期化を受けて、イタリアの銀行の収益力は他の先進国と比べると弱い。加えて、コンテ政権によるバラマキ政策を受けて設備投資が腰折れしたことで、企業の資金需要も減少してしまった。銀行は個人向け融資の強化やリストラで収益の確保に努めている。



