欧州中央銀行(ECB)は6月14日に年内の量的金融緩和策(QE)終了を決定した。同日の記者会見で、マリオ・ドラギ総裁に次のような質問が飛んできた。
「『ECBは5月にイタリア国債を特に少なめに買った』というイタリアからの批判に何と答えるのか」「国債購入の減少とアンチ・ヨーロッパ政府がイタリアで選ばれた時期の関連を説明できるか」
6月、イタリアでポピュリズム(大衆迎合主義)政党「五つ星運動」と極右政党「同盟」による連立政権が正式に発足。その過程において、新政権はユーロ圏から離脱するのではないかと金融市場が懸念した5月、ECBのイタリア国債の買い入れ額が前月より減少した。それが同国債の金利暴騰に拍車を掛けたという怒りが、五つ星運動支持者の間で渦巻いている。
この質問に対してドラギ総裁(イタリア出身)は、国債買い入れオペの変化は単なる技術的な要因の影響にすぎないと説明した。
ECBの国債の買い入れは、以前から月によってばらつきが生じている。ECBが持つある国の国債に満期償還が来て保有額が減少すると、それを補うためにその国債の購入がしばらく増える(今回はドイツ国債)。代わりに他国の国債購入は一時的に減る。5月はフランス、オーストリア、ベルギーの国債買い入れ額も減った。