―― 逆に、あまり重視しなかった、「ここは諦めてもいい」「ここは捨ててもいい」と思ったものはありましたか?
藤原 それは肩書、ポジションです。前の会社では部下がいて、マネジメントの面白さもわかっていましたが、今の会社は前の会社と業種が違うので、いきなりマネジメントができるわけもなく、一プレイヤーとして入社しました。
岡田 僕も前の会社ではマネジメントを任されていましたけど、今は一プレイヤーで入っています。転職で何かを諦めた、という感覚はあまりなかったですが、結果的に肩書を諦めた、ということになるのかな。
坂口 それなら私もそうです。今はほとんど一人体制で、マネジメントも何もないですから。
大谷 でも、肩書やポジションを諦めたことに、後悔はありませんか?
藤原 それが、全然ないんです。一プレイヤーとして入社している分、年下の先輩にもフラットな関係性で色々質問できたりして、むしろ居心地がいいかも。ただ、いずれまたマネジメントする立場になりたい、という気持ちはあります。
岡田 今は新しく学ばなければならないことが毎日山のように押し寄せてくる環境なので、いきなりマネジメントまで任されていたらパンクしたと思います。でも、いずれは目指したいですけどね。
大谷 僕は、お金ですかね。やりたいことがやれるなら、前より多少給与が下がっても仕方ないと思っていました。あとは労働環境でしょうか。仕事が激務になったとしても、それで勉強できるならいいのかな、と。
家庭がある人の「年収の変化」と「嫁ブロック」問題
――先ほど、大谷さんはお金の面にはこだわらなかったという話をされていましたが、皆さんは直近の転職で、年収はどう変化しましたか。また、皆さん、ご家庭をお持ちです。年収や環境、あるいは会社の知名度の変化に対する抵抗などから奥様に反対される、いわゆる「嫁ブロック」はあったでしょうか?
岡田 年収は上がりましたし、妻は転職活動中から外資への転職にポジティブだったんで、決まったときは喜んでいましたね。「海外転勤になってほしい」とか「私も英語を勉強し直そうかな」とか、すごく言っていました。
藤原 私も年収は上がりました。妻は、年収さえ下がらなければ転職でも何でもOKという感じでした。
大谷 僕も……条件としてこだわってはいなかったですが、結果的に上がりました。岡田さんや藤原さんと違って、うちはまさに「嫁ブロック」がありました。妻は安定志向なのか、前から転職に反対で。転職活動中ケンカになったこともあったので、今の会社に転職するときは、内定もらって前の会社に退職願を出してから妻に伝えました。まあ、僕からすれば、行く場所は決まっていて、稼ぎがなくなるわけじゃないんだし、何か文句ある?という感じなんですけど。
坂口 私も「嫁ブロック」されましたよ。前の会社のほうが今の会社より規模が大きかったので、「何でわざわざ?」と思ったみたいで。若いときに転職を検討したときは、特に何も言われなかったんですけど、今は子どもにもお金がかかるから、不安だったのかな。でも、転職で年収はそんなに変わらなかったから、最終的には納得してくれました。