我々にとってかけがえのない地球。その母なる美しい星に暮らす人々や生き物との「リコネクト」をテーマとする筆記具がモンブランから登場した。世界的なプラネタリウム・クリエーターである大平貴之氏もその着想に注目している。
「世界で最も先進的なプラネタリウム」を生み出す
大平技研代表取締役
大学時代、レンズ投影式プラネタリウム「アストロライナー」の開発に成功。ソニー(株)に就職後も製作を続け、1998年に従来製品の100倍以上に当たる150万個(完成形は170万個)の星を映し出す「MEGASTAR(メガスター)」をIPS(国際プラネタリウム協会)ロンドン大会で発表。04年には日本科学未来館に設置した、「MEGASTAR-II cosmos」(投影星数560万個)がギネスワールドレコードに認定された。05年、(有)大平技研設立。文部科学大臣表彰・科学技術賞(06年)、IPS TECHNOLOGY & INNOVATION AWARD(18年)など多数の受賞歴がある。
今から約20年前の1998年、従来の100倍以上もの星が投影できるプラネタリウムをロンドンのIPS(国際プラネタリウム協会)で発表し、一躍、時の人となった大平貴之氏。
ソニーの技術者として働きながら7畳間の自宅で開発した「MEGASTAR(メガスター)」は、文字通り100万(メガ)個以上の恒星を投影。数千個が当たり前だった当時としては常識外れのプラネタリウムだった。肉眼では見えない11等級までの恒星を投影し、従来はぼんやりとした雲のように表現されていた天の川を、初めて一粒一粒の星として表現した。
その後、投影できる恒星の数は150万個、410万個、1000万個、2000万個と増え続け、04年には日本科学未来館に常設された「MEGASTAR-Ⅱ cosmos」が「世界で最も先進的なプラネタリウム」としてギネスワールドレコードの認定を受けた。
さらに膨大な10億(ギガ)個以上の星を映し出す超精密恒星原板「GIGAMASK(仮称、ギガマスク)」をソニー・ミュージックソリューションズ(旧ソニーDADCジャパン)と共同開発。また、従来の光学式プラネタリウムと、コンピューターグラフィックスによって星の数や重ね合わせる映像などを自在に表現できるデジタル式プラネタリウムを融合(フュージョン)した「MEGASTAR-FUSION」を開発するなど、表現の可能性にも挑み続けている。
「子どもの頃、近くのプラネタリウムで見た星空の美しさに感動を覚えたのが原体験です。科学や工作が好きだったので、あんな素晴らしい星空を自分の部屋にも再現できたらと、子どもながらに工夫を凝らしてプラネタリウムを自作しました」と大平氏は振り返る。