回答者665名の半数が「現在、転職意向あり」
“35歳転職限界説”はなくなりつつある

 アンケートによると、「現時点で転職の意向がある人」は、全体の約半数という結果に。一方、すでに転職した人も含めて、「35歳以降で転職の意向を一度でも持ったことがある人」は、35歳以上の回答者全体の83%にも及んだ。

 この結果について、森本氏は「意外ではありません。実際、転職市場では35歳以上の転職者が非常に増えています」と話す。「転職するなら35歳まで」といったように、“35歳”という年齢が一つの節目のように見なされていた時代もあったが、状況はすでに変わっているのだ。きっかけは2007年の「雇用対策法」の改正だという。

「雇用対策法の改正によって、企業が年齢制限を設けた上で人材を採用することが禁止になり、そこから徐々に、年齢を問わず転職できる環境が整っていった形です。それまでは、中途採用でも“35歳以下の若手のポテンシャルを買いたい”という企業が多かったわけですが、最近は年齢に関係なく、その人のスキルや実績を重視して採用する傾向が強まっています。あえて他業種から、業界に染まっていないがゆえの新しい発想やクリエイティビティに期待して採用する企業もかなり増えました。それに応じて、30代後半~40代の転職希望者も増加。企業にとっても転職希望者にとっても、35歳の壁のようなものはもはやなくなりつつある、と見ていいでしょう」

 さらに、これから5年ほどで、年齢を問わず転職を希望する人が増加すると分析している。

「実際に求人は多いですし、35歳以上の転職が一般化していることも広く知られるようになってきているので、転職に対する心理的ハードルは下がっていくでしょう。また、転職というのは自分の市場価値、バリューを確かめる場でもあって、自分がどこまで通用するか試してみたい、というニーズは、この先ますます増えていくのではないかと思います」