“昭和電工ができることを全て知っている”集団
融合製品開発研究所が
技術の融合で創り出す「新たな価値」

昭和電工・トップ技術者座談会

これまでは「事業部ごと」「研究者ごと」に
成果を出していた

──それぞれの分野で強みのある技術は?  それを融合して相乗的な成果を生み出すための組織になっているのでしょうか。

蒲池 それぞれの要素分野に、個性的で競争力のある技術がたくさんあります。例えば「ガス・有機・高分子」ならば、電子材料用高純度ガスや高機能樹脂は、半導体やディスプレー製造に不可欠なものです。

“昭和電工ができることを全て知っている”集団融合製品開発研究所が技術の融合で創り出す「新たな価値」融合製品開発研究所  副所長
兼カーボングループリーダー
近藤邦夫

担当:電子素材・部材ブロック
工学修士(有機化学)。1990年昭和電工入社。以来、研究一筋。途中、米国UCLAへの研究留学、研究開発部で研究管理を経験。社内の研究開発推進に加え、国内外の企業、大学、機関との協働など豊富な研究開発経験を有す。今年より現職。

近藤 私の「電子素材・部材」分野は、有機薄膜太陽電池(OPV)などの基幹素材のフラーレン(炭素原子)、折り畳みや湾曲できるディスプレー部材として期待される銀ナノワイヤ透明導電フィルムがあり、ディスプレーという意味で、蒲池さんのブロックと共通の市場です。

武内  「電池」では、炭素系から次世代のシリコン電極まで幅広い材料技術を持ち、近藤さんのフラーレンデバイスとは近隣領域で、「融合」ができます。

 また、電池材料は、炭素だけでなく、有機・高分子、酸化物、金属と幅広く、蒲池さん、佐藤さん、久幸さんの領域との「融合」にも取り組んでいます。

 さらに、これらの材料を組み合わせたセル評価技術が強みとなります。

佐藤 私の「無機」では、酸化チタンの微粒子製造に強みがあり、積層セラミックスコンデンサー用として拡大中です。放熱フィラーは酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウムなどワンストップショッピング型のラインアップがあり、半導体放熱絶縁シートにも活用されています。また、石油化学における触媒開発もテリトリーです。

久幸 「アルミ」分野では、例えば小山事業所での冷却器は、融合研で立ち上げたパワーモジュールとしての評価により、信頼を得つつあります。また、モジュールの部材は佐藤さんの放熱関連へとつながっています。

蒲池 今お話ししただけでも、昭和電工の各要素が密接に関連しているのが分かると思います。

“昭和電工ができることを全て知っている”集団融合製品開発研究所が技術の融合で創り出す「新たな価値」融合製品開発研究所  副所長
戦略企画部 佐藤孝志

担当:無機ブロック
工学修士。1986年昭和電工入社、現川崎事業所で触媒開発に従事。その後、現徳山事業所で有機合成触媒、半導体洗浄剤の開発を行い、この間オランダ デルフト工科大学に1年間留学。さらに、現融合研(土気)、塩尻などで無機材料などの研究開発を行い、研究開発部で研究企画を経験、今年より現職。

佐藤 しかしながら、これまで昭和電工の成長を支えてきた技術開発の成功事例を振り返れば、各事業に根ざし、1人の推進力のおかげで達成したものが多いのです。いわゆる各分野が連携・融合して編み出された新規事業は多くはありませんでした。

久幸 パワーモジュールはアルミ以外の技術も含む集約体。しかし、以前はなかなか他分野への相談ができませんでした。また、一口に化学と言っても「有機」と「無機」では言葉遣いや解析法が違うなど全く別世界で、なかなか融合が進みませんでした。これは当社だけではなく、どの化学メーカーでも同じだと思いますが、もはやそれを放置しておける時代ではありません。

蒲池 例えば有機化学の世界は接着・表面処理など、異なる素材と接するので、そもそも他分野との融合に適しているのですが、できていませんでした。

“昭和電工ができることを全て知っている”集団融合製品開発研究所が技術の融合で創り出す「新たな価値」融合製品開発研究所
副所長 武内正隆

担当:電池ブロック
理学修士(錯体化学)。1984年昭和電工入社、コーポレートの研究所で、高分子・炭素系電池材料研究開発を担当、2003年事業部の技術開発部門に異動し、炭素系電池材料開発・事業化に従事。一貫して電池材料に関わる。今年より現職。

武内 だからこそ、融合研のような組織が必要なのでしょう。融合研は所長の下に副所長の私たち5人がいるわけですが、上司が共通なので次世代に向けた研究開発テーマの発掘や研究推進を担うには動きやすく成果を上げやすい組織だと思います。

佐藤 トップダウンで方針が示されている意味は大きく、それだけ「融合」がトップの危機感ともいえます。

武内 融合研が、「融合による全体最適、つまり競争力の強化に必要」と、事業部門や人事部門に対して、投資や研究開発者同士の交流などに関して大胆な提案をできる。これはR&Dの競争力強化には実に有効な社内体制だと実感します。

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