流暢な日本語で漢字の矛盾を追求するネタでブレイクした芸人・厚切りジェイソン。彼はお笑い芸人として以外にも、IT会社の役員、投資会社の設立など、さまざまな分野で活躍している。またプログラミングへの造詣も深く、NHKの子ども向けプログラミング学習番組にレギュラー出演している。そんな厚切りジェイソン氏に、社会人がプログラミングを学ぶ意義について質問してみたところ、答えは「やればいいんじゃないですか」。その真意は……。
お笑い芸人。1986年4月9日生まれ、アメリカ出身、身長186cm。普段はIT系の会社で役員を務める、来日9年、日本のお笑い番組を観て日本語を勉強。漢字の書き取りは毎日。ワタナベコメディスクール卒業、2014年10月、芸人デビュー。2015年、『R-1ぐらんぷり2015』決勝に進出。
パソコンとプログラミングに出会ったのは小学生時代
――厚切りジェイソンさんとパソコンとの出会い、プログラミングとの出会いについて教えてください。
厚切りジェイソン(以下、ジェイソン):私の父は、組込系システムエンジニアでした。最初は会社員でしたが、リストラされたのを機に、自分の会社を設立して家で仕事をするようになりました。それで、僕が小学生の頃からパソコンが家にありました。当時は割と珍しかったんですが、それをずっと使っている父を見ていて、興味を持つようになりました。
――特にお父さんから教わったというわけではなく、自分でマスターしたのですか?
ジェイソン:はい。父が仕事のために新しいパソコンを買うと、使わなくなったのをくれるんです。僕はすぐそれを触ったり、壊したりしてたんですね。Windows 3.1の時代でしたが、ゲームを入れようとしたら場所が足りなくて、Windowsという大きめのフォルダを見つけて、「これを削除すればスペースが空くな」と。そしたら起動しなくなって「なんでだろう?」とか。壊した後で、「こういう理由で、実はこれ(Windowsフォルダ)が必要なんだ」と父が教えてくれて、再インストールするとか、父とパソコンの部品を買って、家に戻って自分で組み立てたりとかしていました。小学校、中学校の頃ですね。楽しくやっていました。
――学校でもパソコンを使われていたのですか?
ジェイソン:中学校からですね。コンピューターラボがあって、パソコンをいじる授業もありました。ほとんどワープロでしたが。高校に入るとちょっとしたプログラミングもあった。アメリカでは、大学の単位を高校で取れる制度があるんです。大学で学ぶコンピューターサイエンスの基本授業を受けて、大学1年生の単位を高校で取りました。そこで最初に触れた言語は、C++でした。
ToDoリストはLINEで管理
――それで、漢字のネタで日本でブレイクして……
ジェイソン:(大声で)おかげさまや!(一同笑)
――芸人さんとしてもすごい活躍されてますし。
ジェイソン:はい。愛され。
――はい、芸人としても愛され……他にも、IT会社の役員をされていたり、投資会社を設立されたりと、多方面でご活躍中です。そうしたさまざまな仕事に、プログラミングで学んだことは生かされていますか?
ジェイソン:問題を解決するときに、どういうふうにやればいいのかというのは、プログラミングベースで考えているかもしれないですね。日常のスケジュールも、すべてそのような行動でやっています。
例えば、LINEはToDoリストみたいに使っています。LINEメッセージが来て対応しないといけないものなら、それに対応します。対応が終わったら、そのLINE会話を削除します。ですからいつも、LINEの会話履歴はすべて空(カラ)、何もないです。何か残っていたら、それに対応する必要があるということです。メールも同じです。対応したら消すので、受信簿は全部空です。
――それは面白い使い方ですね。そういう使い方をしてる人はあまり聞かないです。
ジェイソン:プログラミングで優先順位を決めて対応していくような感じですかね。会社のほうでは、僕はコーディングはしませんが、レポートを自分で書いたり、ちょっとした技術が必要なものはまだやります。IT企業なので、みんなが何をやってるのか、どういう事業をやってるのかを理解するには、役員でもプログラミングの知識が必要なのかなと。