会社が社員の個性に
合った「自分物語」
づくりを支援
同社の成長物語の中で目を引くのが『自分物語』という考え方だ。社員が『自分物語』をつくるためには、
・各個人が自分の考え方、生き方を大切にし、 それを基点に行動し、自分づくりをする
・会社という組織があろうとも、常に相手を独立した「個」として認識し、相対し、自分づくりを応援するための取り組みを行うことが重要と考えている。
具体的な取り組みは、内定を出した学生と家族に、説明資料と共に手紙を出すところから始まる。初めて社会に出る学生は、期待とともに不安にかられるものだが、その手紙を読むことによって、会社が「個」としての自分を見てくれていることを理解する。
4月1日の入社式。同社は「日本一長い入社式」を自負している。
「長くなるのは、私が壇上で、新入社員一人一人に激励書を読み上げるためです。激励書の内容は社員の個性を踏まえたものとなっており、“以下同文”はありません。これを約120人(2019年実績)に対して行うので入社式に丸一日を要するのです」(加治社長)
7月上旬には、ファミリーコンベンションが開催される。同社の全社員が参加する行事で、直営店を全店休業にし、全社員、FC企業経営者、その年に入社した社員の家族など合計約1600人(19年実績)が参加する。
「このコンベンションで最も重要なことは、全社員と関係する人々が一堂に会して、直接的な交流を行うことです。弊社の組織作りは『物語的大家族主義』という言葉に象徴されるように、社員同士が家族のように親しく知り合い、お互いの存在を認めること、そして実際に社員の家族も疑似的な集団メンバーと考えることを方針としています」(加治社長)
入社後の研修は、01年にスタートした社内研修を専門的に行う「物語アカデミー」が担当する。研修で重視していることは、「個」が潜在的に持つ能力を発現させるきっかけを与え、リーダーの資質を育てることだ。
「なぜなら『個』は放任では成長が難しいからです。むしろ徹底して『かまう』ことが重要だと考えています。そうすることで初めて、社員一人一人が他者のことをかまったり、他者に向けて発信できたりするようになるのです」(加治社長)