「住宅産業は人間産業」と捉え
働きに報いる制度を導入

経営体制を強化し
新商品を投入

 住宅市場の縮小に関して、長年住宅事業をけん引し、ホテル事業の責任者でもある成田和幸会長は、「18年の新設住宅着工戸数は約95万戸(※)でしたが、十数年後には60万戸台まで減る」と強い危機感を抱いている。
※……国土交通省調べ。

「私たちは過去の成功体験を捨てて市場縮小に備えなければなりません」(成田会長)

 そこで同社は、飛躍第3の創業中期(6カ年)計画の最初の3年を「新未来3カ年計画」として19年1月、経営体制を成田会長、真田和典社長という2人体制に変更、ガバナンスの一層の強化充実を図った。6月には新商品「快適住宅」シリーズを投入。快適住宅は、内装に檜を多用することで健康に暮らすことができる家づくり「檜の家仕様」、ネットゼロエネルギーハウスにプラスして、全国展開住宅メーカーとしては全国に先駆けて冷暖房設備を標準で採用する「快適住宅仕様」を採用した。

「快適な住まいに冷暖房は欠かせません。そこでお客さまが追加予算や別予算を組むことなく快適な住まいに暮らせるように標準仕様としたのです」と成田会長。そこには同社の「顧客第一の姿勢」がある。

 例えば、木造住宅の標準保証期間は20年(ハウスメーカーにより延長保証がある)だが、同社の檜の家は60年の長期保証(商品により35年)をうたう。しかも引き渡し後の不具合は顧客からクレームが上がってから直すという待ちの姿勢ではなく、同社が「感謝訪問(ホームドクターシステム)」と呼ぶアフターフォロー体制を通じて、顧客の要望に積極的に応えている。

 感謝訪問では営業担当と施工業者が3人1組となり、引き渡し後5年目までは年2回、6年目以降はホームサービス担当が、10年目以降はリフォーム営業が年1回訪問する。「その家がある限り感謝訪問を続け、もしご不便があればその場で対処します」(成田会長)。訪問履歴は本社コンピューターに登録されているため、担当が代わっても「縁」が切れることがない。

 同社がそこまで顧客第一を追求する理由は、企業理念に基づいて正直に行動しているからだ。企業理念は、以下の通りだ。

・社会に貢献するグループ企業集団となる
・報恩感謝の心で行動するグループ企業集団となる
・物心両面の幸福を追求するグループ企業集団となる

 この中の「報恩感謝の心」とは、六恩(お客さま、父母、働く仲間、業者会、株主、社会)に報いること。例えばお客さまへの報恩は感謝訪問、父母への報恩は毎年4月の「親孝行月間」(新卒は実家への帰省費用を会社が負担するなど)という形で表している。

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