仮設機材の総合メーカーとして、作業員の安全を優先した次世代足場を市場に投入し業界標準を確立。海外ビジネス、アグリビジネスも積極的に展開している。社員が働きやすい職場環境をつくるため社内外に情報を積極的に開示、休暇や各種手当てを充実させている。
髙宮一雅
代表取締役会長兼社長
設立50周年を迎えたタカミヤは、東証一部に上場する足場などの仮設機材の総合メーカーとして、製品の開発・製造から販売・ レンタル、仮設の設計・施工といった事業を展開している。同社は設立以来、製造会社から仮設機材を購入してレンタルする事業で成長してきた。しかし、髙宮一雅会長兼社長はこう考えた。
「業界の中で差別化を図り、より企業価値を高めるためには、ものをつくる立場で考えていく必要がある」
そして2010年、優れた金属加工技術を有する製造会社を買収し、製造から施工までの一貫体制を確立した。
差別化の好例が次世代足場「Iqシステム」のリリースだ。旧来の足場の階高(足場の床から天井までの高さ)は170センチメートルで統一されていたが、腰をかがめることなく作業や通行ができる190センチメートルに高めたのだ。社内外からは「変化」に対する反発もあったが、髙宮会長は作業員の安全と作業効率を優先した。結果、業界全体が次世代足場に移行しつつある。
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このように主力事業を改革して安定した収益を上げる仕組みを作る一方で、成長ドライバーとして、建設需要が旺盛なベトナムなど東南アジアをターゲットとした「海外事業」、競争力強化が国の課題となっている農業にフォーカスした「アグリ事業」の強化を図っている。
18年5月に発表した3カ年の中期経営計画で同社は、「トランスフォーム」(変化)をスローガンに掲げた。「未来思考により、これまでとは異なる全く新しい企業グループに生まれ変わるという決意、思いを込めた」(髙宮会長)と言う。数年後、十数年後、同社の姿は大きく変わっているはずだ。