短期間で追い付くにはパートナーが不可欠
1962年創業の独立系システムインテグレーター。金融、エネルギー、製造、流通などあらゆる分野の業務システム開発に加え、ITインフラ・ネットワーク構築、クラウド、パッケージソリューションなど幅広いITサービスを提供。これまでに培ったシステム構築のノウハウと最新技術を組み合わせた付加価値の高いソリューションの提供で、顧客のビジネスを変革する次世代のシステムインテグレーターを目指している。
上條 SAFeの国際会議に参加した際、多くのユーザーの成功事例を聞く機会がありました。米国企業も10年前はウオーターフォールが中心でしたが、徐々にアジャイルが当然になりました。日本の現状は10年前の米国に似ていると思います。
クリス 追い付くまでに10年も費やさないことを望みます。私たちは、TDCソフトを含む他のパートナーと共に、日本企業がビジネスシフトする後押しをしたい。欧米の多くの成功事例が示すように、SAFeは実証済みのフレームワークです。日本企業はかんばん方式やカイゼンに親しんできたベースがあるのですから、5年、場合によっては2~3年での達成も十分可能です。
上條 日本企業が海外先進企業に追い付くために不可欠と思うことが三つあります。第一に企業がエンタープライズアジャイルを正しく理解し、慣れ親しんだウオーターフォール開発からのマインドシフトが重要です。アジャイルへの誤解はまだ根強い。ビジネスアジリティーの実現は自社だけでは困難です。ラクビーワールドカップで日本チームが大躍進を遂げたように、企業組織の枠を超えて、多彩なバックグラウンドを有する者同士で「ワンチーム」になることが成功の近道になると思います。
クリス 欧米の企業も経験したことなので、よく分かります。
上條 日本企業に正しくSAFeを理解してもらうためにも、関連コンテンツの日本語化をお願いしたいです。ほとんどの資料およびトレーニングが英語なので、多くの日本人は言語の壁を超えなくてはなりません。
クリス 確かにその問題はありますね。組織やビジネスプロセスが変わるということは、そこで働く人たちの仕事のやり方も変わるわけですから、自分たちの役割を自分たちの言語で正しく理解する必要があります。
上條 第二に変革をサポートするコンサルタントを育成すること。スキルを持った人材のサポートなしでは、エンタープライズアジャイルのプロジェクト成功は難しいと思います。
クリス まさにその点が、TDCソフトのような企業と私たちがパートナーになる理由です。パートナーシップは私たちにとってとても重要なものです。DXやビジネスアジリティーは、企業にとっては組織やビジネスプロセスを根底から作り変える変革のプロセスですから、その変革をサポートする人材育成が量的にも質的にも不可欠です。
上條 TDCソフトは、19年度中に20人以上のSPCと呼ばれるSAFeコンサルタントを育成し、20年度中にSAFeのリーダー、スクラムマスターの資格を含む100人以上の体制を構築して、SAFe導入企業を支援する計画です。
クリス 頼もしい。ぜひ他の認定パートナーと共に日本市場でのSAFe普及を進めてください。
上條 第三に日本の実情に合わせた支援内容の拡充です。まず、アジャイルへの挑戦の前にSAFeの導入が適しているかの診断を行います。診断の仕組みは、産学共同研究の成果物をベースにしています。診断の結果、お客さまのゴールの達成にウオーターフォールが適していると分かった場合は、無理にアジャイルを勧めることはありません。また、どちらを選択する場合でも、お客さまへの最適な契約形態のアドバイスもサポートの一環として提供します。
クリス それぞれの企業独自の事情を考慮した対応は、まさに私たちが認定パートナーに期待することです。きめ細かなサービスを期待します。
上條 DXへの挑戦でアジャイルが有力な実現手法であることは間違いありません。SAFeはソフトウエア開発にバリューストリーム、ポートフォリオマネジメントを連携させることに優れたフレームワークです。今後、多くの日本企業をサポートするためにも、私自身がSPCコンサルタントとして特に企業の経営層向けに直接SAFeの認知度を高め、正しく活用してもらう活動に力を入れたいと考えています。
クリス 素晴らしい。最初のお客さま成功事例を共有してくれるのを、楽しみにしています。
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