1月8日に報道向けに行われた、キリンビールの事業方針説明会。2020年、特に力を入れる商品として語られていたのが「本麒麟」だ。数あるビール系飲料の中で、なぜキリンビールは本麒麟に力をいれるのか。
※販売数(10億本)は350ml缶換算で計算
※参考として新ジャンル商品で比較
1月8日、キリンビールは報道向けに事業方針説明会を行った。2020年の事業方針として布施孝之社長が述べたのは、「10年後を見据えた主力ブランドへの集中投資」「クラフトビール事業」の2つだ。キリンビールが今年注力する主力ブランドとは何か。1つはフラッグシップの「一番搾り」(ビール)、そしてもう1つが「本麒麟」(新ジャンル)である。
実際、本麒麟はよく売れている。2018年3月に発売され、その後1年間の販売数は4億789万5867本(350ml缶換算)。新商品が最初の1年に売れた数としては、過去10年に発売されたキリンビールの新商品の中でも群を抜く売れ行きとなった。
2年目も、その勢いは続いた。2018年3~9月と2019年3~9月を比較しても、すべての月で昨年度を上回る販売数を記録。2019年10月には消費税が増税された。増税前は当然、駆け込み需要で販売数は増加する。反対に10月以降は販売実績が低下すると見られていたが、逆に本麒麟は前年に対して販売を大きく伸ばした。
[出典]キリンビール推計(新ジャンル全体)
ビール、発泡酒、新ジャンル(第3のビール)で構成されるビール類。その中でも最も価格に敏感な商品である新ジャンルだけあって、消費税増税後、新ジャンル全体の販売実績は前年比約88%と落ち込んでいる(キリンビール推計)。ところが本麒麟の販売数量は前年比111%と大幅に増えた。増税の反動で新ジャンル全体の販売数が減少した中で、昨年の販売実績を上回ったことは大きな驚きだ。さらに11月、12月も勢いを増し、前年を大きく上回った。