発売前の商品でもデータに基づく需要予測は可能
諦めない姿勢が新たな価値を生み出す

ソフトバンクとDataRobotによる特別対談

DataRobot Japanのシバタアキラ氏(左)とソフトバンクの藤平大輔氏

企業におけるAI(人工知能)活用が実践期に入る中、さまざまな障壁から取り組みが足踏みする組織も見受けられる。AI・データ活用を推進する上で鍵となるのは何か、また活用プロジェクトを成功させるために社外からどのようなサポートを得るべきか──企業のAI・データ活用を支援するDataRobot Japanのシバタアキラ氏とソフトバンクの藤平大輔氏に聞いた。

AI・データ活用プロジェクトの鍵は「小さな成功の積み重ね」

──AI・データ活用は検討段階を過ぎ、いかに実践するかのステージに入りました。ただし、そこに移行する過程で、さまざまな壁に直面することもあるようです。日頃、企業のAI・データ活用を支援されているお二人は、プロジェクトを推進する上でのキーポイントは何だとお考えでしょうか。

藤平 小さな成功を積み重ねることだと思います。それには、何をもって成功とするかを判断するための定規、つまり明確な判断軸を持つことが重要です。まずは1つの部門や部署の中だけでもいいので、納得できる定規をつくっていただきたいですね。それがないと、いくら壮大な構想を描いても「何を達成したら成功と言えるのか?」となってしまいます。まずは「ここまでやれば成功」という仕組みを決め、そこに向けて取り組みをスピーディーに回していくことが大切です。

シバタ 同感です。データは見方によって価値が変わりますし、興味を持って深掘りしていくと新たな気付きが得られることもあります。それがデータの面白いところだと思いますが、これをできるかどうかはデータをどれだけ信じているか、言い換えれば「データを使ってどれだけ成功してきたか」に左右されます。

 データから価値を得るのは時間も手間もかかる取り組みであり、根気よく深掘りしていくことで、時には誰も見つけられなかった新たな価値を発見することがあります。諦めずに続けられるのは過去に成功を体験しているからで、どれだけの成功体験を持っているかはとても重要です。当社が支援するプロジェクトでも、やりやすいところから始めて成功を重ね、だんだんと難しくしながらより高みへと上っていくプロセスを意識しています。

藤平 小さなプロジェクトでいいので、しっかりとKPI(重要業績評価指標)を決めて取り組み、成功することがマイルストーンの第一歩です。ただし、その前に大切なことが1つあって、最初にCxOや最終決定権者によるトップダウンが絶対に必要です。この取り組みはボトムアップではやり遂げられません。

 ソフトバンクの場合、最強の営業マンは社長の宮内(謙)です。宮内がお客さまのトップとお会いして、「これはデータで客観的に判断しながら進めるデータドリブンのアプローチが欠かせませんね」と話すと、ほとんどの方は「やっぱりそうですね」と納得して、執行役員クラスを担当としてアサイン(任命)してくださいます。こういうトップダウンがないと、組織はなかなか動きません。逆にそこから入ると、経営層もしっかりやろうと腹が決まるので前に進むのです。

  • 特別対談 ソフトバンク×DataRobot

  • 発売前の商品でもデータに基づく需要予測は可能 諦めない姿勢が新たな価値を生み出す
TOP