国際電信電話株式会社(KDD)から受け継ぐグローバルへの強み
本サービスのメリットとして、木村氏はユーザーの負担の軽減を繰り返し強調している。「国ごとにさまざまな法規制もあり、それらに詳しくないお客さまが自ら調査し、クリアしていくのはかなり大変な作業です。それらの大半をKDDIが引き受けているのがこのサービスの特徴の一つです」。
背景として、KDDIのグローバル通信会社としての実績がある。国際電信電話株式会社(KDD)を前身の1つとする同社は、現在、世界に81カ所の拠点と約2000名の現地スタッフを有している。
「昔から海外のキャリアや現地ベンダーとのコネクションを持っていますので、世界各地でデータセンター、クラウド、ネットワークを提供できます。また、海外のキャリアと通信設備、クラウドをワンストップでつなげられるのも当社の強みと考えています」
現地スタッフを各所に配置していることは、サービス導入の際のユーザーの安心感にもつながるだろう。直接話をすることで、逐一要望を聞くことができ、運用においてもきめ細やかなサポートが可能になるのだ。
クルマ業界で起きたことは他業種にも波及
またKDDIには、国内外でIoT事業を推進してきた長年の経験とノウハウがある。
「モノとの通信という意味ではKDDIは日本での先駆けだと考えています。まだIoTという言葉がなかった時代、M2Mと呼ばれていた約20年前から、自動車やホームセキュリティのネットワーク化などに取り組んできました。昨年末には当社が提供するIoTの回線数が1000万回線を超え、国内ではトップシェアだと自負しています」
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このようにIoTの重要性をいち早く認識していたKDDIは、数年前からグローバルでもIoTの展開を開始した。大手自動車メーカーと組んで「つながるクルマ」のグローバル通信プラットフォームを構築したことを端緒に、「IoT世界基盤」というコンセプトを深化させてさまざまな業種へグローバルIoTサービスを提供しようとしている。たとえばコンシューマ領域(空調機器、クルマ以外のモビリティ製品など)でのニーズも高いという。
また、木村氏はクルマ業界で起きたことは他の業種へも波及すると考えている。「日本の自動車業界が最初に走り出して世界トップになったことで、他業界も同じように考えて世界へ展開していったという経緯があります。IoTについても多くの業界が自動車業界と同じような方向に進むと考えています。そこをKDDIが支援していきます」