データドリブン経営のソフトバンクは
なぜクラウド型BIを大規模導入したのか

SFAに入力する動機付けを高め、
データの質と量を向上させる

――法人事業におけるKPIの予測精度を上げるのが当面の目標とのことですが、具体的にどのように取り組んでこられたのでしょうか。

データドリブン経営のソフトバンクはなぜクラウド型BIを大規模導入したのか平之 進ソフトバンク
法人プロダクト&事業戦略本部
事業戦略統括部営業戦略部営業支援課担当課長

平之 手始めに、2018年にDomoを30ライセンス導入し、その後500ライセンスに増やしました。20年2月には6000ライセンスまで一気に増やして、課長以上にライセンスを割り当て、今後、一般社員も順次使えるようにしていく予定です。

 Domoの活用を促すため、機能や使い方に関する社内説明会を行ったほか、実際にDomoを使って営業の予算や実績、予測などの標準データと標準ダッシュボードを用意し、各営業本部の営業推進スタッフがアレンジできる土台を提供しました。それを現場で使いやすいようにアレンジし、活用してもらうためです。

 このように社内プロモーションを展開したところ、西日本の法人営業を統括する広域法人第二営業本部の営業推進部から、「SFAとDomoを活用して、営業活動の可視化を推進したい」という提案がありました。

 活用の効果を試す絶好の機会だと思いましたので、提案通り取り組んでもらうことにしました。広域法人第二営業本部が、Domoの標準ダッシュボードをアレンジして活用し始めたのが2019年5月ごろです。そして、20年2月には同本部の全ての営業担当者にDomoのライセンスを付与しました。

――広域法人第二営業本部の営業推進部では、どのような課題を感じて、Domoの活用を提案したのでしょうか。

平之 営業担当者の多くが、SFAに営業活動情報をきちんと入力していないことに課題を感じていたようです。先ほども述べたように、当社は既存契約からの利益を含む粗利をKPIとしているので、営業による受注件数や金額などをSFAに入力するだけでは、そのまま営業担当者の評価指標の見通しにはなりません。

 そのため、「入力作業は面倒なのに、自分に対するメリットを感じられない」と考え、入力をおろそかにする営業担当者が少なくなかったのです。その結果、SFAに蓄積される営業データの質と量が不十分な状態になっていました。

 一人一人の営業担当者がデータをきちんと入力してくれないと、SFAが集計する予測は事実と乖離します。そのような状態では、妥当な予測に基づいて、予算達成のために営業活動を見直すことが困難になります。

 そこで広域法人第二営業本部の営業推進部では、私たちが作成した標準ダッシュボードをカスタマイズしたり、使いやすいようにアレンジしたりして、営業担当者がSFAに正しく情報を入力すれば、予測が計算されて一気通貫で会議でも使用できるようにしました。

小松 Domoの素晴らしい点は、営業担当者がSFAに営業活動報告を入力すると、15分後には既存契約の利益予測データと組み合わせた実績の進捗状況が表示されることです。

 従来は、各営業担当者が既存契約の利益予測データを自分で取り出し、ExcelやAccessなどに落とし込んでKPIの予測データを計算していましたが、そうした面倒な作業をしなくても、SFAに活動内容を入力するだけで、すぐさま確認できるようになったのです。

 結果的に、営業担当者がSFAに入力することへの動機付けは高まり、入力が増えるに伴って、SFAに蓄積されるデータの質と量も大幅に向上しました。

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