おいしい無糖炭酸水という
新しい市場の創出を目指す

 それ以降の開発は順調に進んだ、と脇山主任は振り返る。

「砂糖を使わずにキリンレモン味を感じる香味を作る必要があったのですが、ブランドのDNAとして余計なものは入れられません。戦略的に原料選定を行い、これまでで一番頭を使って中身開発をしたと思います。また毎日他社品を飲み、この商品の独自性となるレモンの味わいと向き合いました。そのような過程を経て、この味覚が誕生しました。(味には厳しい)上司からも太鼓判をもらい、それが社内の士気を高めることにもつながりました」と脇山主任はうれしそうに話す。

脇山主任はキリンレモンの記憶を「祖母の家に行ったときにいつも飲ませてもらっていました。フルーツポンチにキリンレモンを入れて飲んでいたことも。祖母の家に行ったときにだけ飲めるご褒美のようなものでした」と振り返る。多くの世代でキリンレモンの味は、子どもの頃の記憶に結び付いている

 実際に飲んでみると、見事にキリンレモンのあの味が再現されている。

「キリンレモン 無糖は、無糖炭酸水市場では手薄だった“おいしい無糖炭酸水”という新規市場を創出する商品です――と自信を持って言えるほど、お客さまに驚いて、喜んでいただける、満足度の高い味に仕上がっている」からこそ、「レモンの“味わい”にこだわったおいしい無糖炭酸水という新感覚を堪能していただきたい」と脇山主任。そして強炭酸であることから「割り材としても試してほしい」とも。

 現状のレモンフレーバーの炭酸水で高いシェアを誇っている商品の出自は、炭酸水かミネラルウォーターブランドである。甘くておいしいというイメージがある有糖炭酸のキリンレモンブランドから無糖炭酸水が出ること自体がまず驚きであり、有糖炭酸ブランドが無糖炭酸水市場に参入することも非常にまれなことだ。マーケットがどう反応するのか、興味は尽きないが、まずは糖質制限を気にすることなく、あのキリンレモンが飲めるようになったことを喜びたい。

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