欧米の先進企業がデジタル時代のビジネスプロセス改革の手法として盛んに取り入れ始めた、プロセスマイニング。グローバルなユースケースを含めて、プロセスマイニングに関して幅広く、深い知見を持つEY Japanは、財務会計、業務改善、内部統制など各分野のプロフェッショナルが、部門横断チーム「ONE EY」で、日本企業の真のデジタルトランスフォーメーション(DX)を実現しようとしている。

最新のプロセスマイニング技術を活用し、部門横断チーム「ONE EY」で日本企業の真のDXを実現する(右から)ダーク・ハーマンズ/EY新日本有限責任監査法人 FAAS事業部 財務会計アドバイザリー アソシエイトパートナー、林 直樹/EYアドバイザリー・アンド・コンサルティング パートナー、福地史朗/EYアドバイザリー・アンド・コンサルティング ディレクター、福沢栄吉/EY新日本有限責任監査法人 FAAS事業部 財務会計アドバイザリー シニアマネージャー

デジタル時代のゲームチェンジャー

 プロセスマイニングはドイツで研究・開発されたビジネスプロセス改革の手法である。国家戦略「インダストリー4.0」によって、産業全体のDXを図ろうとしているドイツでは、製造業を中心として大手企業が次々とプロセスマイニングを導入していった。

 EY新日本有限責任監査法人(以下、EY新日本)のダーク・ハーマンズ氏は、「プロセスマイニングはデジタル時代のゲームチェンジャーです」と断言する。

 例えば、ドイツのシーメンスは5年ほど前からプロセスマイニングに着手。現在では、現場担当者から経営層まで、日々数千人がプロセスマイニングツールにログインし、調達や生産、物流、請求・支払いなど、さまざまな業務フロー全体をモニタリング。改善ポイントを見つけ出したり、異常をリアルタイムに検知して業務ミスや品質不良を防いだりしている。

 ドイツ企業だけではない。今や英国の大手通信事業者のBTグループ、ベルギーの飲料大手アンハイザー・ブッシュ・インベブ、米国の金融大手シティバンクなど、幅広い業種の欧米先進企業がプロセスマイニングを導入している。

 プロセスマイニングは、企業内の複数の業務システムに蓄積されているイベントログデータを活用し、実際に行われている業務フローを可視化、分析することを可能にする手法である。

 イベントログデータとは、システムに蓄積されたイベントに関するデータであり、支払い業務プロセスを例に取れば、請求書の受領、支払いの承認、支払いの実行といった各イベントを時系列で記録したものである。これには、「いつ」「どこで」「誰が」「何を」「どのように」行ったかという記録が含まれる。

 「プロセスマイニングを利用することで、現行業務プロセスの簡素化や自動化が見込まれる箇所を特定し、業務効率化を促進することができます。また、グループ間で業務が統一されていない場合、標準化できていない箇所を特定することも可能です」(ハーマンズ氏)