│ユースケース│
ガバナンス強化

 事業のグローバル化に伴って、コンプライアンス(法令順守)を含めたグループガバナンスの効率化・高度化が、日本企業にとって大きな課題となっている。

 日本企業が抱える問題としてよく見られるのは、①海外拠点の管理を現地に任せきりにしている、②海外拠点に関する情報を収集できていない、③現地の内部統制が不十分、④親会社による海外拠点のモニタリングが不十分、⑤海外拠点の管理コストの増加、といった点である。

 こうした問題について、(親会社と海外拠点では)「システムが違うから」「事業が異なるから」「言語が違うから」などの理由がよく挙げられる。これに対して、EYアドバイザリー・アンド・コンサルティングの林直樹氏は、「見えないものは管理できませんが、見えていれば管理できます。プロセスマイニングは、システムや言語が違っても、事業が異なっていても、業務フローを可視化できるのが強みです」と言う。

 プロセスマイニングによって、海外拠点や子会社の業務フローを継続的にモニタリングすることが可能になれば、異常や問題をすぐに発見し、改善を促すことができる。

 林氏は、「M&A(企業の合併・買収)に当たって、デューデリジェンス(企業価値の精査)を行う際にも、プロセスマイニングは非常に役立ちます」と付け加える。

 過去にも日本企業による買収後に海外子会社で不祥事が発覚した例があったが、プロセスマイニングを適用すれば、時間やコストをそれほどかけずに内部統制のデューデリジェンスを行うことができる。それによって内部統制の弱い部分が判別できれば、その改善を買収条件に加えることができ、買収後の企業統合が円滑に進むことが期待できる。

デジタルPDCAで真のDXを実現する

 最後に、プロセスマイニングを導入する際のポイントについて、ハーマンズ氏に聞いた。

 「プロセスマイニング導入にふさわしいタイミングは、働き方や業務フローが大きく変化する、もしくは、自ら変化を起こすことが必要なときです。あるいは、経営の先行きが不透明で、限られた予算と時間の中で最大の成果を上げなくてはならないようなときです。今はまさに、そのタイミングといえるでしょう」

 業務システムのイベントログデータさえあれば、どのような企業でもプロセスマイニングに着手することができる。「それを今、活用しない手はありません」(ハーマンズ氏)。

 生産、販売、物流、ITサービス、財務・経理などあらゆる部門で、プロセスマイニングによるビジネスプロセス改革は可能だ。「まずは特定の部門で、小さく始めるのが現実的です。当社が持つライセンスでプロセスマイニングツールを使ったPoC(概念実証)を行い、効果を確かめた上で、幅広く展開するといったことも可能です」(同)。

 広範囲なビジネスプロセス改革を行う際には、グローバルなユースケースを含めてプロセスマイニングに精通したEY Japanの各分野のプロフェッショナルが、部門横断チームを組んで、クライアント企業を支援する体制を整えている。

 「業務フローは日々、刻々と変化していきます。これからは、プロセスマイニングを活用して、業務フローの可視化、分析、評価、改善活動というデジタル時代のPDCAサイクルを定常化していくことが、真のDXと企業成長につながります」。ハーマンズ氏はそう締めくくった。

EY Japanの各分野のプロフェッショナルが、部門横断チームを組んでプロセスマイニングの導入を支援する
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