業務効率化とガバナンス強化の両立

 欧米先進企業がこぞってプロセスマイニングを導入し始めた背景には、ビジネスプロセスの「複雑化」と「非効率化」がある。

 グローバルな事業展開を行っている企業にはさまざまな事業部門があり、国や地域ごとに、あるいは製品やサービスごとに異なるビジネスプロセスによって運営されている。そのため、業務フローは膨大な枝葉に分岐しており、かつ日常的にそれが変化している。さらには、各事業部門が使用するシステムが異なることも多いため、複数のシステムで運用されるビジネスプロセスは複雑を極める。

 その結果、業務フローは全社的な統一性や一貫性を失い、紙ベースでのやりとりや手作業での処理も随所に残されている。こうした非効率性を残したままビジネスを拡張することは難しく、デジタル時代にふさわしいビジネスプロセス改革が必須の課題となっていたのだ。

 ビジネスプロセス改革には、「業務の可視化」と「業務を分析し、改善点を割り出す」という二つのステップが欠かせない。それを実現するソリューションが、プロセスマイニングなのである。EY新日本の福沢栄吉氏は、「プロセスマイニングの優れているところは、業務フローの可視化は当然のことながら、分析も同時に行うことができる点にあります」と語る。

 プロセスマイニングツールは、全ての業務フローを網羅的に把握することができ、データの取り込み、可視化・分析をスケジュール化し、何らかの異常が発生した場合はAI(人工知能)で自動検知してアラート(警告)を発するといった機能を備えている。

 また、実際に行われている業務フローと事前に定義された業務フロー、そして理想的な業務フローをビジュアルで比較検討し、ビジネスプロセス改革につなげるといった使い方もできる。

 こうしたことから、ガバナンス強化のためにプロセスマイニングを積極活用する動きも出てきている。

 業務フローが複雑になってくると、それが意図したものでなくても不正が発生する可能性が高まる。例えば、業務フローでルール化されている「承認」や「検査」といったプロセスを経由せずに先に進んでしまうといった例外処理だ。

 プロセスマイニングツールで業務フローをモニタリングしていれば、このような例外処理や不正が発生した場合、担当部署に自動通報したり、モニター画面上で強調表示したりすることができる。納期の遅れが発生しそうな場合は、担当者に注意を喚起するといった活用方法もある。では、こうしたユースケース(活用例)について、いくつか紹介しよう。