企業と個人が互いに成長できる関係づくりについて研究を行うキャリアアセットマネジは、神戸大学大学院経営学研究科で組織論を専攻し、人的資源管理に携わる伊達洋駆氏とともに“エンプロイアビリティ(雇用され得る力)”の実証を伴う開発を行っている。このほど同社と伊達氏は、組織に貢献する人材力の研究を目的に複数企業の人事担当者への取材を実施した。本連載では、こうした取材結果に基づいて実践的かつ効果的な人材確保と養成のための方法論に関する伊達氏の考察を展開していく。

 

伊達洋駆 だて・ようく
神戸大学大学院経営学研究科所属。産学連携をコーディネートするリエゾン組織、株式会社ビジネスリサーチラボ取締役

ビジネスにかつてないスピードと効率性がビジネスに求められる今、人材には即戦力となることが求められている。しかし、新卒採用の現場においてはその”即戦力”をめぐって、学生と企業の捉え方に大きなギャップがあるようだ(第1回参照)。

学生は持てる知識やスキルを総動員して企業への貢献力をアピールする反面、大手企業の採用担当者は、新卒の学生にはむしろ白紙となって組織のやり方に染まってほしいと述べる。人材という経営資源を確保するうえで、その入口である採用の場でこのようなギャップが生じる理由とは? それをひも解き、企業が戦略的に人材を確保・養成していくための施策を伊達氏が探っていく。

“即戦力”とは何か

  これは先日、「ダイヤモンド・オンライン」において、ビジネスパーソン約300人を対象に「即戦力」のイメージを聞いたときのアンケート結果です。

 半数以上の人が、「即戦力」という言葉に最も近いイメージとして、「対人関係の構築や交渉力など、ケース・商談をリードできるコミュニケーション力」と回答しました。

■「労働市場と人事・人材教育に関するアンケート」より一部抜粋
2012年7月23日~8月5日、「ダイヤモンド・オンライン」調べ。
有効回答数289件(男性238、女性51)